円キャリー取引? と見られる買いも入り大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年12月03日 16時42分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 昨日までとは雰囲気が一転、大幅高の中身が違う感じです。先週までの持高調整の売りが止まったことが確認されたこともあり、大きな上昇となったものと思います。言い換えるとこれまでの海外株式に比べて出遅れていた要因というのはファンドなどの手仕舞い売りが大きな要因であったということでしょう。ほぼ全面高となり、後場中ごろからは先物のまとまった買戻しも見られ、指数を押し上げる要因となったものと思います。

 市場の雰囲気が変わったかもしれません。日米の金利差がようやく逆転となったことで、これまで「ドルキャリー取引」を行っていた向きが「円キャリー取引」に移行しているのかもしれません。増税論議などもあり、景気回復が米国よりもかなり遅れそうだということで、超低金利が米国以上に続くと見られているのかもしれません。米国での個人消費も回復しつつあり、日本よりも一歩進んでいるという見方なのでしょう。

 白川日銀総裁は「円キャリー取引」などを敬遠するために「ゼロ金利」や「国債買い入れ」を回避したと述べていましたが、結果的に、金利が低下し資金の出してがいれば「円キャリー取引」、つまり投機的な資金はいつでも動くということでしょう。ただ、これまでの下落が「異常」であり、行き過ぎていたわけであり、考え方によってはまだまだ海外市場に追いついておらず割安感が強いということなのでしょう。

 「ドバイ・ショック」が結果的に悪抜けとなり、腰の重かった日銀や政府を動かしたわけで、そのおかげて相場展開が変わったとすれば、「人間万事塞翁が馬」ではないですが、何が良い方に転ぶかわからないものです。まだまだ一朝一夕には相場の雰囲気も変わらないのでしょうし、米国のクリスマス商戦の結果や雇用情勢などに振らされる場面もあるのでしょうが、持高調整の売りに抗っても二進も三進もいかなかったように、本当に流れが変わったのであれば、多少の逆風も「間切りながら」進んで行くものと思われます。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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