円安や米国株高を受けて、底入れ感が強まり大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年12月07日 16時00分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 大幅高となりましたが、まだ疑心暗鬼のなかでの買いであり、先行きに対する安心感から買い上がるような動きはありません。まだまだ売られ過ぎの修正と言う感じであり、まだ指数も「戻った」という感じではないかと思います。それでも、新興国に続き米国でも景気回復が個人消費や雇用の改善にまで見られ、政策面からの経済対策がようやく日の目を見たということなのでしょう。それに引き換え、日本では対策どころか予算の見通しすら見えず、株価だけではなく企業の経済活動にも影響を与えていると見てもいいのでしょう。

 デフレ脱却が期待されますが、デフレ脱却こそが税収の減少や株価の低迷などを解消する手立てではないかと思いますが、株を買うことにしても「デフレ」だからと躊躇う動きとなり、「ものを買う」行為そのものが低迷しているのではないかと思います。自動車を持たない若者が増えているということも「デフレ」だからこそ「保有する」と言うことが嫌なのでしょうし、不動産にしてもかつては「保有する」ことが資産形成の一つと考えられたものが今は土地の保有すらデフレで目減りしてしまうとして敬遠される面もあるのかもしれません。

 株式投資でも、その会社の将来の収益にとって画期的な発明などがあっても株価への影響は長続きせず、一過性となってしまっています。これもまだ「保有」を敬遠する動きから来る動きで、「好材料」が好材料として取り上げられ難いことになってしまっています。ですから、好材料と思っても、証券会社の「投資判断」、特に外資系証券の投資判断などが出てこないと反応し切れないことになってしまっているようです。

 親の意見と冷酒ではないですが、後から忘れたころにしっかりと効いてくる材料もあるわけであり、目先的にはっきりと数字で示せるような材料ばかりに飛びつくのではなく、将来的に大きく変わりそうな新技術や今後流行るだろう技術などに投資するつもりで、しっかりと「保有する」投資も必要ではないかと思います。目先的な紆余曲折はあっても、右肩上がりで上昇しているようなものが今後は景気回復の過程で、デフレが解消される過程で出てくるものと思われます。じっくりと今後の「デフレ後」の将来を見て動き始めてもいいのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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