円高に振れた割りには底堅いが過熱感も強く方向感のない展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年12月08日 16時37分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 先週からの大幅上昇の反動や円高を嫌気した割りには底堅い展開となりました。円高にもかかわらず新興国を中心とした世界的な景気回復や経済対策期待からハイテク銘柄にも高いものが見られ、円高メリット銘柄として内需関連株やディフェンシブ銘柄なども堅調となり、下支えとなりました。日本でデフレに対する懸念が根強いなかで、米国景気も順調に回復していると見られることで、これ以上大きく円高に振れることも少ないとの見方も出ているものと思われます。

 円高に振れたことが嫌気されましたが、大きく円高に振れるという懸念は薄れているようです。冷静に考えてみると、円が買われる理由は「日本の金利が高い」または「日本の景気回復が他国よりもスピードが早い」と言う場合であり、「日本買い」となるには日本の株が大きく上昇する可能性がある、とか、日本の債券の価格が大きく上昇する(金利が低下する)と言うような場合です。また、ドルやユーロなどに比べて「下落の不安が少ない」と言う場合にもリスク回避として買われることもあるものと思います。

 これらの動きを考えてみると今のところ特に大きく円高に振れる要因というものも考え難く、ここから少なくともどんどん円高が進んで輸出企業などの収益が更に悪化するということはないものと思われます。したがって、過度な円高に対する懸念は必要ないものと考えます。もちろん、欧州で金融不安が起こるとか、米国金融機関の資金繰りが悪化するなどということがあれば別ですが、ドルを買い急ぐ理由もない代わりに円を買い急ぐ理由も考え難いということなのです。

 目先的な為替の動きにも反応が鈍くなったとも考えられ、市場は底堅いと見ても良いものと思われます。日銀の金融政策が好感されているというよりはデフレや円高を防ぐために、「何か行動を起こした」ということが評価されているものと思われます。今後も政策に方向が見られれば実現性などはともかく、その政策に合った銘柄が変われるのでしょうし、何か一つでもすんなりと行動ができれば好感する動きとなるのでしょう。いずれにしても景気回復のため、雇用や個人消費の回復を期待するのであれば、輸出企業であれなんであれ、企業業績の回復から始めなければならないものと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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