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» 2009年12月25日 08時00分 公開

元朝日新聞の本多勝一が語る、衰退するメディアと取材の方法(後編) (2/3)

[土肥義則,Business Media 誠]
中国の旅』(朝日文庫)

――新聞ジャーナリズムの衰退が著しいと感じています。メディアの現状についてどのように見ていますか?

 新聞ジャーナリズムが衰退しているのは、「当然のことだ」と感じている。「部数が低迷している」と言われているが、何百万部という部数が、むしろ異常ではないだろうか。新聞が発達している米国の例を見ると、ニューヨーク・タイムズは大部数ではない。「クオリティペーパー」と呼ばれている通り、そういった層を中心に読まれている。日本の新聞社もニューヨーク・タイムズのような形態を目指した方がいいのではないだろうか。

 いわゆるベタ記事を掲載してもいいが、突っ込んだ取材による記事も掲載するべき。ルポルタージュや論説などを中心にした記事を日刊紙に掲載していくのはどうだろうか。こういった形の新聞であれば、大部数でなくもいい。例えば東京都であれば、10万部もあれば影響力は十分だと考えている。

――ジャーナリストという仕事は面白いものですか?

 ジャーナリストというのはいろいろな定義があるが、必ず言えることは「世に知らせるべきことを知らせる」ことが仕事だ。では何を世に知らせればいいのだろうか。それは人類の未来や幸せなどに通じることを、報道すればいいと思っている。

 例えば核兵器について。核兵器というのはどんな形であれ廃絶を目指すべき。こういうことを報道するのは、とてもやりがいのある仕事だと思う。やりがいがあれば、結果として面白いことにつながっていくのではないだろうか。

 またジャーナリストには公的な資格が必要でない。フリーであっても、会社員であってもできる。やればそれだけの結果がでる、という仕事。若い人たちには是非、ジャーナリストの仕事を目指してほしい。

 もし「戦争は止められるか」という質問があれば、「止められる」と私はいいたい。戦争を止めるのは、ジャーナリズムの活躍が最も有効ではないだろうか。核兵器に関しても、もしジャーナリストの活躍があれば止められたはずだ。

取材する方法

――映像ジャーナリストについて、どのように思われていますか。新聞などの組織ジャーナリズムにはできないことを報道しているようにも感じます。

 映像による報道は刺激的で説得力が強い。しかし新聞には別の役割があるので、それをよく考えるべき。映像というのは現場を“劇”としては報じる面で優れているが、映像にすることが難しい面もたくさんある。それを報道するのが、ルポルータジュの役割ではないだろうか。

 新聞はもっと良質なルポルタージュを掲載していかなければならない。しかし実際には逆のことを行っていて、ルポルタージュがどんどん少なくなっている。いま、新聞1ページをつぶすようなルポルタージュはほとんどない。しかも現場に足を運ぶ記者が少なくなっている。

 新聞記者が現場に足を運ばなくなったかどうかについては、紙面を見れば分かること。現場を取材することは面白いはずなのに、いまはジャーナリストとしての意欲が薄れている人が増えてきているのかもしれない。意欲のある新聞記者をもっと使えばいいのに、いまの新聞は逆行している……つまり“悪循環”に陥っているのだ。

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