世界的な景気回復を織り込むような格好で出遅れ銘柄が物色されて堅調清水洋介の「日々是相場」夕刊(1/2 ページ)

» 2010年01月12日 16時19分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

市況概況

日経平均 10879.14円 △80.82円
売買高 25億2381万株
日経平均先物 10890円 △80円
売買代金 1兆6926億円
TOPIX 954.13 △12.84
値上がり銘柄 1187銘柄
東証マザーズ指数 405.28 ▼0.68
値下がり銘柄 397銘柄
日経ジャスダック平均 1185.01円 △2.05円
変わらず 101銘柄
騰落レシオ 122.46% △5.76%

日経平均

世界的な景気回復を織り込むような格好で出遅れ銘柄が物色されて堅調

 日本市場が休場となっている間に米国市場は堅調となったのですが、為替が円高に振れたことから売り先行となりました。ただ、外国人売買動向(市場筋推計、外資系10社ベース)が大幅買い越しと伝えられたこともあり、新興国関連銘柄や個別の材料がある銘柄、出遅れ感の強い銘柄などが堅調となり、底堅い展開となりました。それでも節目と見られる10800円水準を抜けると利益確定売りなどに押される展開で上値も重く、上値の重さが確認されると軟調な展開となりました。

 後場に入ると一段と買いが優勢となりました。昼の時間帯に為替が円安傾向に戻ったことから自動車株やハイテク銘柄の一角が買い直されて一段高となり、出遅れ感が強いことから海運株や鉄鋼株などが買われ、先駆したハイテク銘柄の一角が利益確定売りに押されて軟調となった他は底堅さを確認しては買われるといった展開で堅調となりました。さすがに次の節目と見られる10900円を一気に抜けるだけの材料には乏しく上値も限定的となりましたが、特に買い上がる材料がなかった割りには利益確定売りをこなして堅調な展開となりました。

 小型銘柄は主力銘柄が買われるなかで、乗り換え売りや見切り売りに押されるものも多く、東証マザーズ指数は軟調、日経ジャスダック平均も小幅高に止まりました。先物も後場の寄り付きにはまとまった買いが続く場面もありましたが、その他はまとまった買いも散発的で、指数を押し上げる要因とはなりませんでした。現物指数に追随する動きが強かったのではないかと思います。日経平均採用銘柄であるJAL(9205)が早々とストップ安となったことで先物を売って224銘柄を買う動きもあり、指数を押しあげる要因となったのかもしれません。

 結果的に、朝方伝えられる外国人売買動向が大幅買い越しとなったことで指数も利益確定売りをこなして堅調となったような感じですが、円安となったことで、日本株の出遅れ感が強まったということもありそうです。外国人の買いとされるものの中には、日本の景気回復が遅れていることで米国以上に低金利が続くとの見方から「ドルキャリー取引」から「円キャリー取引」に移行する動きもあったのかもしれません。また、JALがストップ安となったことでの「日経平均先物売りの224銘柄買い(JALを売るのと同じ効果があるとされます)」というような単純な需給の問題で買いが入ったということかもしれません。

テクニカル分析

日経平均

NYダウ

 高値更新となりました。RSIには若干上値余地もあるのですが、高値圏にあり、ストキャスティックスも高値圏が続いており、移動平均戦や基準線との乖離も大きく目先的な過熱感は否めないのでいったんは上値の重い展開となるのではないかと思います。10800円台を固める動きになるように転換線のサポートを確認するような場面もあるものと思います。

TOPIX

NYダウ

 大幅高となり、ようやく昨年8月のもみ合い水準まで一気に戻りました。RSIは若干上値余地はあるものの高値圏にあり、ストキャスティックスも高値圏にあることや移動平均線や基準線からの乖離も大きく、過熱感が強く、昨年8月もみ合い水準まで一気に上昇となったことからの達成感もあり、いったん上値も重くなって来るのではないかと思います。

円相場

NYダウ

 再び節目と見られる92円水準を試す動きとなっています。RSIもストキャスティックスも高値圏からの調整となっており、引き続き上値の重い展開が続くものと思います。週後半からは基準線が再び上昇に転じる可能性が高く、規準線までの調整となる場面もあるのかもしれません。

銘柄ピックアップ

新興国関連銘柄や出遅れ銘柄を物色

郵 船(9101) 339 △8

 出遅れ感が強いことに加え、新興国経済の拡大、輸出入の活発化を期待して海運指数の見通しを大手証券が上方修正、同時に海運株の目標株価を見直したことから注目されて買いが入り堅調となりました。

第一三共(4568) 1984 △29

 9日付の新聞でインド子会社の収益が改善して2010年3月期業績の上振れが期待出来ると報じられたことが好感されて買われ、堅調となりました。

ヤマハ(7951) 1152 △50

 大手証券が事業構造改革の進展やピアノ事業での中国市場の需要期待、またPBR(株価純資産倍率)から見て割り安感が強いとして投資判断を引き上げ、目標株価も大幅に引き上げたことが好感されて買われ大幅高となりました。

チヨダ(8185) 1166 ▼49

 先週末の引け後に2010年2月期通期業績見通しの下方修正を発表、連結子会社の収益低迷などから最終損益が上場来初めて赤字に転落する見込みと伝えられたことから、嫌気する売りに押され大幅下落となりました。

三菱電(6503) 752 △28

 電子機器の省エネを促す「パワー半導体」を増産すると新聞で報じられ収益拡大、特に中国市場での収益拡大が期待されるとの見方から買いが集まり、大幅高となりました。

パナソニック(6752) 1449 △77

 先週末に2010年経営計画を発表、昨年末に子会社化した三洋電機(6764)の太陽電池事業を強化するなど環境関連を中心とした成長分野に注力する経営姿勢が評価されて買いが入り堅調となりました。

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