政局の混乱や円高、目先的な過熱感から売り急ぐ場面も見られ軟調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年01月19日 16時00分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場が休場となり手掛かり難の中、目先的な過熱感を冷ますように見切り売りが嵩み軟調となりました。後場になって為替が円高に振れたことや国会での政治資金の問題などから政策の滞りを懸念する動きから売り急ぐ向きもあったようです。外国人は本日も買い越し基調と朝方伝えられたのですが、買い越し幅が昨日までよりも縮小していることなどもあり、買い手が見当たらず、ちょっとした手仕舞い売りで指数を下押す要因となったものと思います。

 外国人頼みの相場も買い手掛かり難の中で外国人の買いが細ると新たな買い手もいないだけに大きく値を崩すことになるようです。為替も円高に振れたのですが、それでもまだ一時期に比べると円安となっており、売り急ぐだけの材料とも思えないのですが売りが嵩んでしまうようです。ここのところの相場上昇で過熱感が強いことも下げをきつくする要因となったものと思います。

 国会が始まりましたが政治資金の問題にからみ混乱となっているようです。かつて、自民党が下野し、細川政権になった時も1月から2月にかけて市場が混乱、乱高下したことを思い出しました。今年も乱高下するということでもないのですが、昨年11月末からの戻り相場も一段落となったのかもしれません。過熱感が強いときは冷静に考えるといろいろな指標が「過熱」を示しているにも関わらず「まだ行ける」と思ってしまうものです。逆に「もう駄目だ、まだまだ下がる」と言って見切ったところから反発となることもよくあるのです。

 市場で何が起こっているのか良く見極めましょうと何度もこのコラムでも述べて来ましたが、過熱感が強いという事実、誰が何のために買って、その結果高くなっているのか、などを考えて見れば、何がどうなれば一転売りが優勢となってしまうのかも分かるのです。外国人が買っている、というだけで買っている人が多ければ「外国人が売る」と言うことで株価が下がるのではなく「買わない」と言うことで下がってしまうこともあるのです。「アジア市場が高いから」などと頓珍漢な見方をしているとアジア市場が高いにも関わらず、日本株が売られるなどということもあり、如何に市場で何が起こっているのか的確に把握することが大切ということが分かるのではないでしょうか。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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