米国市場の下げ一服で底堅い堅調な始まりも後場から一転大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年01月26日 16時44分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 ようやく米国市場は下げ止まりましたが、日本市場は昨日の下げ渋りで米国株の反発を織り込んでいたことや中国での金融引き締め懸念がまた強まったことや円高を嫌気する動きなどから大幅下落となりました。午前中は目先筋の買戻しや外国人買いを期待した買いが入り底堅い堅調な地合いが続いたのですが、後場に入ると買いが続かず逆に円高や中国の金融引き締めを嫌気する売りが嵩んで大幅安となりました。特に売り急ぐような材料があったとも思われないのですが、市場参加者が少ないことから一方向に動きやすいということなのでしょう。

 後場から一転売りが嵩んで大幅安となりました。売り急がなければならない決定的な材料が出たわけでもないのですが、昼の時間帯の売り決め玉や急激に円高、特に対ユーロで円高が進んだところを見ると、欧州系の持高調整の動きが出たのかもしれません。いずれにしてもこの売り方を見ると、短期の投機的な動きが中心と思われますが昨年7月や10月、11月と言ったような動きとなるものと思われ、米国でのFOMC(公開市場委員会)の決定や本日の日銀総裁の会見などは注目されるものと思います。

 中国の金融引き締めが懸念されていますが、直接的には日本市場には大きな影響があると思えません。中国で金融引き締めが行われても影響は不動産などの投機的な動きを抑制する目的であり、中国でのモノの需要がそれほど減退するとも思われません。投機的な動きには過熱感がありますが、それに日本の企業が乗っているわけではなく、実需の部分で日本企業が影響している面が大きいと思います。中国は政府の力が強いので、今回の景気回復局面のように引き締めも緩和も臨機応変に行われるものと思われ、過剰反応は禁物ではないかと思います。

 本日の大幅下落の要因も中国の引き締めだけはなく、日銀の金融政策決定会合の結果、米FOMC(公開市場委員会)を控えての思惑、金融引き締めからの欧州での金融不安などがまたぞろ頭をもたげ、それに投機的な資金を引き上げるような動きが重なったのではないかと思います。日銀総裁の会見や欧州市場が始まるところで落ち着きを取り戻すのかどうかが大いに注目されます。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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