“フリー”の中から生まれる、新たな出版革命とは上杉隆×小林弘人「ここまでしゃべっていいですか」(6)(2/4 ページ)

» 2010年01月27日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
インフォバーンの小林弘人氏

 僕はフリーのジャーナリストが自分のWebサイトを持ち、それで取材活動を続けられる可能性は「ある」と思っています。それはアーティストや作家も同様です。バックアップできる仕組みとツール、集客装置を用意できることが、今後の新しい出版革命であり、出版社のバージョンアップだと考えています。

上杉 私も始めようかな(笑)。実は私もブログを課金制にしようと思ったことがあるのですが、他の媒体で書いているときにはなかなかできない。例えば取材が重なってしまうと、媒体の方を優先しないといけないから。また私の場合、ブログは遊びでやっているのに、課金制にしてしまうと「何かネタを……」と思い、それが負担になるかもしれない。そういった懸念がありますね。

小林 確かに、お金を取っているなりの責任が生じますからね。

上杉 なので「課金制は厳しいかな」とも感じているんです。

小林 課金制にせず、上杉ファンを増やすという方法はどうでしょうか。上杉さんを知らないという人に対し、ファンを増やしていくのです。そうすれば本を出すときに、初版の部数を予測することができます。あえて課金制にはせず、上杉ファンを増やすというメリットも大きいはず。なぜその方法論をお薦めするかについての子細は、僕が監修した書籍『フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略』(著クリス・アンダーソン、NHK出版)を読んでいただければ……(笑)。

 →なぜ“無料”だと最高品質になり得るのか――国内ネットビジネスのフリーミアム戦略とは(関連記事)

上杉 クローズの課金制は日本型、寄付は米国型、この2つは大きく違いますね。

小林 寄付はどのくらいのお金が集まっているのかまで、分かってしまうので、究極のディスクロージャーかもしれません。Spot.usが知られるようになったのは、サンフランシスコ市議選の候補者が公約を出したとき、それぞれの立候補者についてチェックしたんです。こういう地域密着型ジャーナリズムは日本でも可能性があると思います。

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