週末の米国市場は底堅さも見られたのですが、週明けの日本市場は円高などを嫌気して売り優勢となりました。いったんは日経平均の10000円を割り込んだことで、達成感から底堅さも見られましたが売り急がなければならない理由も特にない一方で、買い材料にも乏しく、目先筋の売買が中心で方向感にも買い気にも乏しい展開となりました。個別の業績発表、決算発表に反応してはいるのですが、好業績でも軟調となるものが目立つなど地合いの悪さが目立つ相場となりました。
昨年、一昨年と同じような展開になって来た感じです。「節分天井、彼岸底」といわれますが、実際には1月高の3月安値という感じではないかと思います。年明けは外国人などの新規資金の流入期待などから堅調となり3月は持ち合い解消や持高調整の売りも多く、全体に売り基調となるのかもしれません。今年も同じような動きになるとは限りませんが、これだけ先行きの見通しが不透明な中で持高調整の売りなどが出ると指数は案外あっさりと下押すのかもしれません。
欧州の金融不安ばかりが取りざたされていますが、世界的に投機的な動きを抑制する方向にあることが、ここのところの相場下落の要因ではないかと思います。2007年までの上昇も「バブル」の要素も大きかったと思われますし、今回の景気回復を織り込む過程で「バブル」となったと感じる人達も多いのかもしれません。世界的な規制強化の動きが市場の動きをゆがめている面もあり、今後も世界的な金融規制や金融引き締めの動きに上値を押さえられてしまうものと思います。
ただ、企業業績は「バブル」のおかげか何かわかりませんが(多分にバブルの恩恵が大きいと思いますが)、投機的な資金が商品市況を上昇させ、デフレを防いだことで回復した面もあり、金融規制が逆に景気の腰を折る可能性も高いのではないかと思います。欧米で金融規制の動きが強まれば逆に規制を強化しない市場に資金が流れ込む可能性もあり、欧米の株式市場が冴えない展開となっても、割安感を見直す動きとなるような市場も出てくるのではないかと思います。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
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