欧州は金融不安が一段落で反発だが、米国市場は「出口戦略」懸念から大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年02月09日 08時47分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>9908.39▼103.84

<NASDAQ>2126.05▼15.07

<為替:NY終値>89.25-89.31

欧州は金融不安が一段落で反発だが、米国市場は「出口戦略」懸念から大幅下落

 欧州市場は金融不安も一段落となり、株式相場は反発となりましたが、米国では欧州の金融不安とは別に金融規制に対する懸念も根強く、慎重な見方が多くなっているようです。その中で足元の企業業績が好調ということもあり、バーナンキFRB(連邦準備理事会)議長が今週の議会証言で出口戦略について言及すると報じられたことで、売り急ぐ展開となり、大幅下落となりました。金融規制への懸念から金融株が大きく下落し、指数を押し下げました。

 足元の業績が好調とされるハイテク銘柄なども売られました。景気の二番底懸念は薄れているのですが、金融規制に対する懸念や金融緩和の「出口戦略」に対する懸念から売られました。ただ、大幅下落とはなりましたが、商品市況が堅調となっていることなどから金融不安は薄れ、商品市況に反応して堅調となる場面があるなど、底堅さも見られ、指数の下落の割には落ち着いた展開となっていました。

 個別には投資判断を引き上げたホーム・デポが高く、ダウ平均採用銘柄ではHP(ヒューレットパッカード)と2銘柄だけが堅調となりました。金融規制懸念から金融株が安く、バンク・オブ・アメリカは大幅下落、JPモルガン・チェースやシティグループなども軒並み軟調となりました。前日とは反対に原油価格や金価格が堅調となったのですが、シェブロンやエクソン・モービルなど石油株やアルコアなどの素材株は売られ、前日の反動もあってパブリック・ゴールドやニューモント・マイニングは大幅下落となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は好決算を発表する銘柄も多かったのですが、先行きの不透明感から手仕舞い売りも嵩み指数は大幅下落となりました。節目と見られる日経平均の10000円を割り込む場面では一旦、達成感から買戻しも入り底堅さが見られる場面もあったのですが、買い気に乏しい中で手仕舞い売りに押されて大幅下落となりました。外国人が売り越しと伝えられたことも売りを急がせるような要因の一つとなったものと思います。

 米国市場が大幅下落となったことや円高傾向にあることから引き続き軟調な展開となりそうです。さすがに昨日の大幅下落の反動もあり、底堅さも見られるのでしょうが、好決算を発表しても先行きに対する懸念が根強く、最後まで買い切れず戻りも鈍いものと思われます。為替や海外、特に欧米の影響を受け難いような銘柄、内需関連銘柄で出遅れ感が強いような銘柄は底堅い堅調な展開も期待されますが、総じて上値も重い展開が続くのでしょう。ただ、好決算を発表しながら出尽くし感や地合いの悪さだけで売られすぎたような銘柄は業種を問わず底堅い堅調な展開となってくるのではないかと思います。

 日経平均は10000円を割り込んでしまい、次の節目と見られる9900円水準を試す動きとなりそうです。「円キャリー取引」解消のような持高調整の売りが出なければまた、すぐに10000円台回復となるのでしょう。10100円半ばから200円台半ばの節目を早々に抜けてくるのかどうか、下値目処と見られる9500円から600円水準まで一気に下落となる場面が見られるのかどうか、今日明日の動きで方向感が見えてきそうです。為替が落ち着けば10000円台にはすぐに戻るのかもしれません。

本日の注目点

◇12月の特定サービス産業動態統計速報(経産省)

◇12月の米卸売売上高

◇決算・12月期:日本マクドナルドHD(2702)、シマノ(7309)

◇決算・4−12月期:石油資源開発(1662)、コムシスHD(1721)、日揮(1963)、日本たばこ産業(2914)、クボタ(6326)、荏原(6361)、パイオニア(6773)、日産自動車(7201)、HOYA(7741)、凸版印刷(7911)、東京エレクトロン(8035)、CSKHD(9737)、ローム(6963)、太陽誘電(6976)、セイコーHD(8050)

◇決算・10−12月期:米コカ・コーラ、ウォルト・ディズニー、スイスUBS

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