信用収縮懸念が一服し、米国株安にもかかわらず底堅い展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年02月09日 16時44分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場が大幅下落となったことから売り先行で始まったものの為替や消費市況の落ち着きなどから底堅い展開となりました。外国人が買い越し基調ということに加え、米国株安の要因が米国の「出口戦略」であったこと、また、決算発表が続々と行われるなかで、業績の回復を示すものが多いことなどから底堅さが見られたものと思います。相変わらず市場参加者は増えずに物色対象の広がりも見られないのですが、手掛かり難のなかで底堅さを示す格好となりました。

 市場全体としての方向感は見られませんでしたが、業績回復を示す銘柄に対しては比較的好感する買いが入っていたものと思われます。目先筋の利益確定売りや材料出尽くし感から売られてしまうものも多いのですが、大きく下押すようなところでは目先筋の買戻しなどもあり、底堅さが見られます。そろそろ3月期末を意識することになり、週末のSQ(特別清算指数)算出が追われ場、決算動向をにらみながら持高調整となる可能性もありそうです。

 全般に業績の回復が見られるなかで持高調整の売りに押されるような場面では逆に買い場となる銘柄なども見られそうです。業績が悪くなるから売られるわけではなく、持っていてはいけないから売るわけなので、「持てる」投資家にとっては割安で買えることになるかもしれません。2月は個人投資家向けの小売業などの決算発表もあり、3月は期末となっているので、株主優待などもそろそろ材料になるかもしれません。

 もちろん、配当や株主優待も株価が下がっては元も子もないのですが、業績回復過程であると考えれば長期保有で考えた場合には買えるのではないかと思います。極端な優待などは使い方によってはかなりの高利回りに換算できるものもあり、考え方によっては株を安く買うような(場合によっては「ただ」で!?)効果がある場合もあり、明日上がらなければならない株式投機から「投資」を考えて見てもいいのではないかと思います。急がば回れ、で案外そうした銘柄があっさりと利益が出たりするものです。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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