欧米での信用収縮懸念一服から堅調だが休日を控え上値も重い清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年02月10日 17時02分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株が大幅高となったことや為替が円安となったことから一時大幅高となりました。昨日までの下落の反動と言う意味もあって休日、オプションSQ(特別清算指数)算出前に買戻しを急ぐ動きもあったものと思われます。機械受注など好調な経済指標への反応は今一つと言う感じですが、業績回復を示す決算も多く、売り叩き難くなっているのでしょう。市場参加者は相変わらず限られているようで、手仕舞い売りに上値を押さえられる場面もありましたが、業績回復を素直に好感する動きも多く、最後は休日を控えて手仕舞い売りに押され上げ幅縮小、安値引けとなりましたが堅調となりました。

 決算動向に敏感に反応するものも見られ、全般的に業績が底入れから回復となっている銘柄も多く、市場全体の底堅さ、底上げにつながっているものと思われます。一方で、好調な決算を発表、通期見通しも上方修正となっているにもかかわらず、市場の予想まで届かなかったという理由だけで売られているような銘柄もあります。まだ通期の段階であれば、予想が違っていたのかどうかなどはわからないはずであり、予想が正しく、会社側の予想が慎重ということもあるのではないかと思います。

 もちろん、アナリストの予想も必ずしも当たるとは限らず、目標株価や投資判断もかなり「怪しい」ものも多いのではないかと思います。本日も同業他社よりもPBR(株価収益率)が若干高いから上値も限られるなどと言うアナリストのコメントがありましたが、それではPBRの低い方の株が売られるとPBRの高い銘柄は売られなければならないのでしょうか。いろいろな要素があって、その部分だけコメントとして出てきたものだと思いますが、「平均」とか「他社と比べて」と言う表現も非常に曖昧であり、また、こうした「指標」そのものもどのレベルが「正しいか」などはわからないと思います。

 PER(株価収益率)は低いがPBRが高いのはどうなのか、などファンダメンタルズの指標では「成長性のある会社」とか「財務基盤の安定している会社」と言うようなことはわかりますが、現在の株価が高いのか安いのかなどは大まかにしかわからないのではないかと思います。売り上げも営業利益も前年に比べて20%増えていて、株価は前年の安値と同じ水準、などと言うケースでは「割り安」などと考えることは出来るのでしょうが、ファンダメンタルズの指標では絶対的な株価水準は「○○円くらいが妥当と思われる」程度にしかわからないものと思っておいた方が良いと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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