さらに「いまは年功序列制度などが機能していないため、会社員人生の将来があまり見えない。だから、一層に不安が募るのではないか」と投げ掛ける。
さらに小見山氏は、27歳は「決断の時期」とも言う。
「会社に残るならば、上司や周囲との関係を良好なものにしていき、そのうえで実績を積み上げていくべきです。転職をしても次の職場が会社である以上、同じことです。独立するならば、難易度の高い資格をとると、うまくいく可能性は高くなるとは思います。しかし、組織を離れて生きるのは厳しいものです」
内海氏は20代のころ、勤めていた大企業が倒産した。そのとき、強く思ったという。「会社はいざとなれば、社員の雇用や生活など守ってくれない」。この経験をきっかけに社会保険労務士の資格をとった。
そして、新卒採用のあり方に言及した。
「いまは成果主義の影響もあり、総額人件費の管理が厳しくなっています。新卒採用もこの流れの中にあり、採用枠を簡単に増やしたりしない傾向になっているのです。さらに採用戦略が景気の影響を受けすぎです。景気がよければ大量採用、悪くなるとどんどん削る。これは好ましくないでしょう」
また育成についても厳しい。
「大企業は人を育てるシステムが不十分であり、もっと整備するべきです。中小企業の中には、非常にOJTによる指導がしっかりした会社があります。双方を見ていると、もしかするとこういう中小企業で働く方がいいのかもしれないと思えるほどです」
27歳の会社員には「焦る必要などない」と助言する。
「数年先のことだけでなく、5〜10年、20年先と自らのキャリアを冷静に考えたうえで行動をとるべきです。その年齢のころはむしろ、社内の研修を積極的に受けたりして会社員の立場を大いに利用するべきでしょう」
私が補足すると、日本の企業を取材していて強く感じるのが、事業戦略と人事戦略がバラバラで動いていることだ。特にその傾向は、会社の規模が大きくなると露骨になる。
例えば、中国に進出するという事業戦略を描きながらも、それにふさわしい人を採用していない。人事部は相変わらず漠然とした理由(「なんとなく優秀」など)で内定を出している。これでは、慢性的に余剰人員を抱え込み、最後はリストラなどにならざるを得ないだろう。
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