心の病気になる30代が多いのはなぜ?ちきりんの“社会派”で行こう!(2/3 ページ)

» 2010年02月15日 08時00分 公開
[ちきりん,Business Media 誠]

若い時は「ヒマだからやっていること」はあまりない

 こうして見てくると、ここまでのところ(3)の「ヒマだからやっていること」があまり出てこないですよね。実は若い時は誰でも(3)が少ないのです。ところが、ある年代から(3)は現れて、そしてどんどん大きくなります。

 例えば、若くして結婚して子育てが早く終わってしまった50代主婦だと、↓といった感じです。

(1)やらなくてはならないこと(手抜きな家事)=30%

(2)やりたいこと(通販や韓流ドラマ観賞、近所の噂話)=50%

(3)ヒマだからやっていること(ボランティアでもやる? それともジムでも通おうかしら?)=20%

 男性でも中年になって「そろそろ仕事も限界が見えてきた。これ以上頑張ってもな」となると↓のように (3)が出てきます。

(1)やらなくてはならないこと(展望が見えなくても拘束時間は長い仕事)=60%

(2)やりたいこと(酒を飲むくらいかなあ)=20%

(3)ヒマだからやっていること(お金もないし、結局はごろごろ)=20%

 若い時は誰しも「やりたいこと」がたくさんあって、時間が足りないのが普通です。でも誰しもどこかの時点で、(1)や(2)より、(3)が大きい時期がやってきます。 よく、「定年後の趣味を作りましょう」という話がありますが、あれは「(3)が生活の100%になったら大変だから(2)を作りましょう!」という話ですよね。

 そして、人がこの(3)と向き合い始める時期にはいくつかのパターンがあります。例えば、「定年時、退職時」「子どもの独立時期(専業主婦の場合)」「離婚、親との死別時」など、“やる必要のあること”が急激に減った時です。

 この「(3)との遭遇時期」が人より早いと、「他人の人生は充実しているのに、自分の人生は……」と悲しくなったりします。

 でも一方で、遭遇時期が人より遅ければいいかというとそうでもなくて、年をとって柔軟性が失われてからいきなり(3)が現れると、対応できずにパニックになる人もいます。定年うつ、老年うつ、子離れできないママなどです。 「(3)しかない人生なら、生きている意味はないのではないか?」という発想になる人までいます。

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