DVD100円自動レンタル機登場! 変わるレンタルビジネスの生態系それゆけ! カナモリさん(2/3 ページ)

» 2010年02月16日 08時00分 公開
[金森努,GLOBIS.JP]

回転率を上げて売り上げを伸ばす

 商売の基本は、どこまで行っても「売り上げ=客数×客単価」だ。だが、その客数と客単価をさらに分解すると、このレンタル機の意味がさらに明確になる。

 「客数=店舗前通行数×入店率×購入率」。コンビニの立地は間違いなくいい。また、時間帯にもよるが、小売り業態の中でもとりわけ入店率は高いはずだ。ちなみに、筆者はかなりの確率で吸い込まれる。そして、飲料だのガムだの、何らかは買う。昼時なら弁当だ。購入の際、「ついで買い」が多いのも特徴だ。筆者も、初めてレンタル機を見た時、「おおっ!」と危うく勢いで「ついで借り」するところだった(見る時間ないのに)。

 従来通りレンタル店で客を待っていたり、客の家まで宅配でDVDを届けたりという現在のスタイルに比べると、圧倒的に客数は増えること間違いなしなのだ。

 「客単価」も分解してみよう。「客単価=購入商品数×購入商品単価」だ。購入商品数は、12時間という時間では1〜3枚に限られる。購入単価は100円だ。

 上記からすると、低客単価を客数で補うように見えるが、客数は「回転率」がキモなのだ。

 通信販売などで「RFM分析」という指標が用いられる。「R:Recency=最新購買日:どれくらい最近に購入しているか」「F:Frequency=累計購買回数:どのくらいの頻度で購入しているか」「M:Monetary=累計購買金額:全部でいくら購入しているか」である。

 ほぼ毎日立ち寄るコンビニなら、FrequencyとRecencyが高くなることが期待できる。結果として、Monetaryも最大化する。

 チャネル(ファミリーマート)にとっても美味しい話だろう。DVDを借りたり返したりする顧客の導線を自店に引き入れることができるのだ。DVDのお供に飲料やスナック菓子をついで買いする姿が目に浮かぶ。地域にある他店との差別化もできる。

 まったくもって正しい気がするこの自動レンタル機。TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が、こうした取り組みを積極的に行う裏には、既存店の収益悪化という背景もある。

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