著者プロフィール:伊藤達夫(いとう・たつお)
THOUGHT&INSIGHT株式会社代表取締役、東京大学文学部卒、認定エグゼクティブ・コーチ(JIPCC)。コンサルティング会社にて食品、飲料、化学品メーカーなどのマーケティング寄りのプロジェクト、官公庁などのプロジェクトに携わる。その後、JASDAQ上場の事業会社に移り、グループ戦略、事業戦略、業務改革などに携わる。結果的に最年少でのマーケティング部門、部門長となる。ブログ「ゆるーいコンサルタントな日々」
たまに、「こういう仕組みにすればいいと思うんです!」とか、言われちゃったりします。まあ、提案する気概は買いますよ。でもさ、仕組みにする必要ある? みかんを1個だけ売るんだぜ……。
このケースは極端ですが、こういう場面に最近よく出くわします。経営コンセプトブームはもう相当前に過ぎ去った気がするんですけどね。仕組みブームもね。ビジネスモデリングとかいう言葉も流行ったのは相当前。なのに何でだろう? ビジネススクール的な教えがフォロアーレベルまで広がってきたからでしょうか?
背景はよくわかりませんが、瞬間瞬間、すごーく限られた領域の中で正しいことを言うのは簡単です。しかし、たいていの物事は関係性の中にあります。
その関係性の中で、正しいことを言うのはすごーく難しい。その関係性の中で、ある理論がどのような形で適用できて、どのようにアジャストしていくかはすごーく難しい。まあ、そういう仕事をしていますけどね……。
で、何も考えずに「仕組み化しましょう!」と言うのはすごーく簡単。何も考えずに理屈こねるのはすごーく簡単。これ、伝わりますか?
「マーケティングはもうかる仕組みを作ることだ!」、仕組みって言えばマーケティングっぽい。「ブランディングはイメージアップすることだ!」、まあいいんですけど。
概念語や理論には、それが成立した膨大な背景がありますよね。でも、専門用語を使うと、たいていの人はそこで思考停止しています。
「戦略」と言うと思考停止。「マーケティング」と言うと思考停止。「ブランディング」と言うと思考停止。「仕組み化する」と言うと思考停止。多いですよね。そういうこと。
「学問は思考停止との戦いではないの?」と思うんですけどね。学問の成果である理論を凝縮した言葉がかえって人の思考を止めるのも皮肉なものですが。
話が思いっきりそれましたね。ただ、そういうことを経営者やら、ビジネススクール好きやら、ビジネストーク好きやらが言うことがあります。まあ、私も書くのは好きですけどね。これは、ほぼ趣味ですけど。
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