このまま“暗いトンネル”の世界へ……2010年版のヤミ金事情(1/3 ページ)

» 2010年02月19日 11時16分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 改正貸金業法による規制強化で、正規業者の廃業が相次ぎ、お金を借りられない人が増えている。しかしそうした人たちの受け皿として、ヤミ金が増殖……。このような“負のスパイラル”が、いま貸金業界で広がりを見せている。

 2002年ころからヤミ金の横行が社会問題となり、警察は取り締まりを強化。2003年には「ヤミ金融対策法」が施行され、その後、この問題は収束するかのように思われた。しかし2005年以降、ヤミ金事犯の検挙人数は700〜1000人ほどで推移しており、悪徳業者の撲滅にはほど遠いのが現状だ。

(出典:警察庁)

 ヤミ金の手口は大きく分けて3つある。1つめは事務所などを持たず、連絡手段は携帯電話のみ。その携帯電話を使って、貸し付けや取り立てを行う「090金融」。2つめはヤミ金グループ間で債務者に関する情報を交換し、同じ債務者に次々と融資を行う「システム金融」。

 3つめは高金利で貸し付けるが、手荒な取り立てを行わない「優しいヤミ金」だ。ヤミ金事情に詳しいノンフィクションライターの窪田順生氏は「『優しいヤミ金』は厳しい取り立てを行わないが、金利は10日で30〜50%と高い。ただ正規業者がお金を貸してくれないので、何度も利用する人が多い」としている。警察も「優しいヤミ金が増えている」ことは認識しているが、「相談者が来ないので、実態把握が難しい」(警察庁)と手をこまねいているようだ。

なぜヤミ金が増えているのか

 日本貸金業協会の調査によると、消費者金融を現在利用している人の12.2%は「ヤミ金を利用したことがある」という結果がでた。また、そのうち2.8%は「現在も利用中」だという。ヤミ金からお金を借りているのは「医療費などの緊急性が高いケースが多い」(日本貸金業協会)としている。また、ある大手消費者金融の幹部はこのように見ている。「経営難に追い込まれた正規業者が廃業し、ヤミ金に衣替えしているケースが目立っている。特に地方では業者と顧客の関係がより親密。なので以前から知っている業者がヤミ金になったという認識がないまま、お金を借りているのではないか」。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.