米公定歩合の引き上げで手仕舞い売りが嵩んで大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年02月19日 16時29分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場は堅調となったのですが、米国市場の引け後に公定歩合の引き上げが発表され、米国市場の動向を見極めたいという動きから様子見気分の強い始まりとなり、上値の重さが確認されて週末の手仕舞い売りに押されると大幅下落となりました。為替は円安に振れたのですが、それよりも米国市場動向が気になるということで買いが入らず見切売りがかさんで大きな下げとなりました。

 米国の公定歩合引き上げを嫌気して売られましたが、本来であれば、特に売られる材料でもないような気もします。公定歩合を引き上げたといっても、重要視されるFF(フェデラルファンド)金利を引き上げたわけではなくFF金利と公定歩合の金利差を「正常に」戻したに過ぎず、しかも公定歩合の引き上げは(もう少し後になると思いましたが)ある程度予想されていたことでもあり、大きな影響はないものと思われます。

 今週に入ってからは米国では中国の金融引き締め懸念などを嫌気する動きはあったものの長期金利が上昇する中で商品市況も株式市場も堅調となっており、その面からも織り込まれていたものと見ても良いと思います。米国景気も中国などの新興国に続き回復が鮮明になっており、経済指標も好転しているところを見るとここからはいよいよ「業績相場」となってくるのではないかと思います。

 株式市場も商品市場も、中国市場も米国市場も「金融相場」から「業績相場」、別な言い方をすれば「信用相場」から「実需相場」に移行しようとしているのではないかと思います。景気の落ち込みや信用収縮の動きではなく、資金の流れは実体経済の動きとして見えてくるものと思われ、いったんは端境期ということで調整となるのかもしれませんが底堅さが見られれば買い直す動きもあるのでしょう。日本市場は期末要因などからまだ目先的な需給要因で振らされることもありそうですが、底堅さは見られるのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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