新聞・テレビ・雑誌が苦戦……2009年の広告費、初めてネットが新聞を抜く(1/2 ページ)

» 2010年02月22日 17時58分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 電通は2月22日、「2009年(平成21年)日本の広告費」を発表した。衆議院選挙やエコカー減税、エコポイントなどプラス材料はあったものの、世界的不況による景気低迷が大きく影響した結果、2009年の総広告費は5兆9222億円(前年比88.5%)と2年連続で減少した。媒体別で見ると、新聞が6739億円(同81.4%)と落ち込む一方で、インターネットは7069億円(同101.2%)と、初めてネットが新聞を上回った。

 新聞は広告の出稿減少に歯止めがかからず、2008年(同87.5%)に引き続き、2年連続での2ケタ減となった。「広告収入の落ち込みは新聞社の経営にも大きな影響を与えており、相次ぐ夕刊廃止や新聞社間の編集・印刷・輸送面での相互提携、Webや電子版の有料化、購読料値上げなど、既存の枠組みを超えた合従連衡やコンテンツの有料化戦略など、業界全体としての課題に積極的に取り組む動きが目立った」(電通)

 テレビの広告費は1兆7139億円で、前年比89.8%。内訳として、番組広告費が7596億円(同87.8%)、スポット広告費が9543億円(同91.4%)だった。「1〜3月は予算削減の矛先として期中での調整が比較的容易なスポット広告が影響を受けた。4月に入ると改編を機に固定費削減が進み番組広告が減少。7〜9月は前年の北京五輪の反動もあり番組広告費の落ち込みがさらに拡大した。その一方、リーマンショックから1年が経過した9月ころからスポット広告に明るい兆しがみえ始めた」(電通)としている。

 雑誌の広告費はPC関連やクルマなどの減少が目立ち、3024億円(同74.4%)と大幅に落ち込んだ。一方、減少幅が少なかったジャンルは生活実用誌やティーン女性誌など。雑誌全体では宝島をはじめ付録付きの女性誌が好調で部数を伸ばしたが(関連記事)、大手出版社の老舗雑誌の休刊が相次いだ。主な休刊誌は『BRIO』(光文社)、『エスクァイア日本版』(エスクァイアマガジンジャパン)、『マリ・クレール』(アシェット婦人画報社)、『諸君!』(文藝春秋)、『小学5年生』『小学6年生』(小学館)、『スタジオボイス』(INFAS パブリケーションズ)、『PINKY』(集英社)など。

 またラジオの広告費についても、1370億円(同88.4%)と苦戦した。主にクルマや金融の落ち込みを2008年後半から引きずり、低調に推移した。

(出典:電通)
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