スノボ・國母選手のスタイルをパーソナルデザインの視点から見る(2/3 ページ)

» 2010年02月23日 08時00分 公開
[唐澤理恵,INSIGHT NOW!]
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パーソナルデザインの視点から見ると

 彼のもともとの顔立ちは、目の位置が低い無邪気な子供顔、目元には野性的な印象があり、ひげもそのワイルドさを増長しています。全体的には「独特の感性を持ち、自分の目指す世界を突き進む少年」といった印象です。

 そして、彼が身を置く世界もスノーボードという新しい世界。ストリートスポーツという世界かもしれません。決して大人(熟年)を中心とした保守的な世界ではありません。だからこそ、ドレッドヘアも合うし、鼻ピアスも合っています。職業と、顔立ち、現在の髪型から見れば、あの着こなしもトータルコーディネートされているといえます。

 しかし、大人たちは、オリンピックという公の場で“乱れた(これも受け取り方によりますが……)”服装であったことに「遺憾である」と言っているわけです。

 ここで、ビジネスの場に目を向けましょう。

 商社などの海外出張が多いビジネスマン。初めての海外出張前にグローバルスタンダードの着こなし研修を実施する大手企業が最近やっと出てきました。海外出張でなくても、部長になる時にファッションスタイル研修を行う企業も出てきています。

 IBMなどは、かなり以前から役員になるとファッション研修がありましたが、そんな企業は日本ではまれでしょう。日本の高度経済成長時代から現在に至るまで、ビジネスマナー研修はあったものの、ファッションスタイルなどは個人任せ。

 結果、海外出張の際、食事の席にジャケットをはおっていなかったり、表彰される場面でジャケットのボタンを止めていなかったり、靴がひもなしのゾウリムシスタイルだったり、スーツに白いコットン靴下を合わせたり、袖が長すぎたり、紺色のスーツに赤茶色の靴とベルトを合わせたり……。今回の國母選手のように公に批判されなくても、「くすくす」と商談相手からほくそ笑まれている場面も多いはずなのです。

 残念ながら、日本における洋服の歴史はたった100年。小さいころから公の場での洋服の着こなしを親から教わる欧米と違い、日本はそれがまったくと言っていいほどありません。親自身が分かってないから教育なんて無理な話です。

 結果、國母選手を批判している大人たちの中にも、今回の國母選手のような若者たちの中にも、グローバルな環境の中で、恥をかき、損をしてしまうことが多々あるわけです。

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