やはり批判されても仕方がない 国母選手と会社員の服装の乱れ吉田典史の時事日想(2/3 ページ)

» 2010年02月26日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

 さらに「こういう人を指導できない周囲にも問題があり、それを結果として許してしまう風土も変える必要がある」という。

 私も庄司氏と同じ思いであるのだが、結局、自分の置かれている状況を察知し、それにふさわしい振る舞いをすることができないと、その人はうまくいかないのである。たとえ本人に悪意はなくとも、周囲はその人を斜めに見るもの。これでは、良好な関係がいつまでもつくれない。一時的に成績が良くても、後々まで安定した成績を出すことは難しい。成績が悪くなれば、周囲から“総スカン”を食らい、職場では浮いた存在になる。そして最後は、消えていくというオチになる。

 上司などから「服装」について厳しく言われることに抵抗を感じる人は、こうした視点でとらえてみたらどうだろうか。職場で生き抜くためにこそ、服装は大切なのである。ちなみに、私は会社員のころに「ネクタイが曲がっている」などとよくしかられた。上司もだらしない人だったので、私は腹が立った。そのことを指摘すると「真理は誰が言っても真理だ! 口ごたえをするな!」と怒っていた。だから、今回の記事は「……するべき」とは書かない。判断材料を提示するのに努めたい。

国母選手と似たような経験

 一方で、金親氏は国母選手にやや同情的だった。

 「あの服装の乱れは問題であり、決して擁護はできない。ただ、その心理は分かるような気がしなくもない。要は、表現力が未熟なのだと思う」と苦笑いしながら答える。

 実は、金親氏は自らが運営するブログの名前を「上戸彩(うえと・あや)社労士」としている。「人気タレントである彼女の名前を借りれば、読者が増えるかもしれない」と思いついたのだという。「上戸さんのファンであるが、自分が目立ちたいと思っていたのかもしれない」と漏らす。しかし、期待は外れた。思い描いたように読者は増えなかった。このような経験があり、金親氏は「国母選手と似たような経験があるので、強くはいえない」と控え目だ。ただし、会社から相談を受けるときには、自身の体験も交えながらこのようなことは伝えるという。

 「会社員は、外に出るときは会社を代表しているのだから、言葉や服装には十分すぎるほど注意を払う必要がある。自分は絶えず見られている、と心がけておいたほうがいい」。そして「成績がいいから服装は少々乱れていても構わない」といったとらえ方は好ましくないと言い切る。

 「成績がよいときに、それを自分ひとりの力によるものととらえているようでは、周囲と良好な関係なんてできない。そもそも、その成績は本当にひとりの力で達成したものといえるのかどうか、私は疑問だ。上司や先輩、さらにはほかの部署の支えもあるはず。服装に配慮できない人は、このあたりの人間関係にも疎いのはないか」

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