やはり批判されても仕方がない 国母選手と会社員の服装の乱れ吉田典史の時事日想(1/3 ページ)

» 2010年02月26日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)など。ブログ「吉田典史の編集部」


 オリンピックがクライマックスを迎えつつあるが、今回はメダルうんぬんとは別に、注目を浴びた選手がいる。スノーボード男子ハーフパイプの国母和宏選手は、バンクーバーへ向かう際の服装の乱れなどで、一躍“時の人”となった。メディアはその姿勢を厳しく批判する一方で、少数だが擁護するケースも見受けられる。

 今回の時事日想は、社会保険労務士として社員の勤務態度から人材育成まで幅広く相談を受けるお2人に「会社員の服装」などについて話をうかがった。株式会社アイウェーブ代表の庄司英尚氏と、NPO・個別労使紛争処理センターの金親義彦氏である。

社員の服装の乱れは、会社にとってマイナス

 庄司氏は社員の服装が乱れ、それを放置しておくことは、会社にとって「大きなマイナスであり、大きなリスクになりうる」と警告を発する。服装の乱れとして印象に残っている例として、冬の寒い日に会った営業マンの話を挙げた。その営業マンは、スーツの下に半袖のシャツを着ていたという。さらに、靴のかかとはかなりすり減っている。彼の話を聞いていても、そのあたりが気になって仕方がなかったそうだ。

 「このような社員がいると、会社の信用、ブランド力をはじめ、社員のモチベーションが下がりオフィス全体の生産性が悪くなる可能性がある。結局は、相手がその人の服装をどう見るかという問題であり、本人もそれを自覚するべき」だという。

 庄司氏が重きを置くのは、周囲や取引先など相手との関係である。

 「たとえ成績がよかったとしても、服装が乱れていると、上司はその社員を高く評価しないのではないか」と評価の裏側を話す。「服装や言葉づかいは、評価の前提になることであり、すべての基本」ともいう。

 会社員にしろオリンピック選手にしろ、本人が自らの置かれた状況をきちんと認識し、それに応じた行動をとることが大切だという。しかし、それを心得ていない例として、国母選手が記者団からのインタビューに受け答えをするシーンを挙げた。

 「記者は服装の乱れを報じたあとは、国母選手の“言葉の乱れ”や“態度の悪さ”を狙っているように思えた。それを察知して、自らの言動を早く正さないといけないのだが、それが最後までできていなかった」

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.