米国ハイテク銘柄高を受けて買い先行で始まるも上値の重い方向感のない展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年03月02日 15時58分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
前のページへ 1|2       

明日の相場雑感

 相変わらず市場参加者が少なくさえない展開となっています。世界の半導体売上が好調と伝えられたことで、半導体関連銘柄を筆頭にハイテク銘柄に高いものが多く、指数を下支えしてはいるものの、「物色されている」と言う印象ではなく、買戻しなどでしっかりしているという感じで、盛り上がりに欠ける展開となっています。政府がブラジルでの高速鉄道入札の支援を検討すると伝えられても鉄道関連銘柄が物色されるわけでもなく、買い気に乏しい展開となっています。

 指数は底堅いものの物色対象が絞り切れず、好材料もいくつか見られ、もっと反応が広がっても良いと思うのですが、物色の広がりも買い進む動きも見られず、指数を一気に押し上げるような動きになりません。最近はこのように好材料と思われるものにも反応が鈍いことが多いのですが、市場参加者の種類が極端に短期筋に偏っているということかもしれません。外国人や機関投資家のまとまった売り買いが散発的に見られて方向付けをして、目先筋がその方向を大きく動かすということなのだと思います。

 ですから、大きく動きが出るときは本当に大きな動きになり、動かないときは極端に動きはないということが多いと思います。何度かこのコラムでも述べていますが、「市場で何が起きているのか」を把握することが大切だと述べて来ました。それでは、現在の市場ではいったい何が起こっているのでしょうか?世界的に景気は回復傾向にあり、企業業績の回復も見られ、また、それを織り込むように株式市場も堅調となっている、と言うことなのですが、先行きに対して「景気回復継続」と言う確信が持てないということでしょう。

 また、市場参加者も昨日述べたような「ツイッター」に見られるように「お手軽な方向」「楽な方向」で儲けようと思っている人が多いのではないかと思います。市場の動きを見極め、業績動向や景気動向を見て、そして株価の動向を見極めながら先を予測して、タイミングを測りながら投資をする、と言うことが本来の投資なのでしょうが、目先的な値動きばかりを見て取引をしようとする向きが多く市場の方向感がなくなり、一旦、方向付けられると大きく動いてしまうということになるのでしょう。しっかりとした買い手、参加者が増えるまでは落ち着かない相場が続くということなのでしょう。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.