米国の人事採用に学ぶ“Twitter就活”(1/2 ページ)

» 2010年03月23日 08時00分 公開
[石塚しのぶ,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:石塚しのぶ

ダイナ・サーチ、インク代表取締役。1972年南カリフォルニア大学修士課程卒業。米国企業で職歴を積んだ後、1982年にダイナ・サーチ、インクを設立。以来、ロサンゼルスを拠点に、日米間ビジネスのコンサルティング業に従事している。著書に「『顧客』の時代がやってきた!『売れる仕組み』に革命が起きる(インプレス・コミュニケーションズ)」がある。


 昨今、日々の生活を考えてみると、通信やショッピング、娯楽など、あらゆる活動の基盤がWebに移行していることが分かります。米国の若い世代の間では、メールではなくSNSで友達と連絡をとり、モールにたむろするのではなくネットをブラウズし、YouTubeで映像を見て楽しむ、というのが珍しくなくなってきています。

 このように、一般消費者の生活基盤がWebに移行することを、私は市場の「クラウド化」と呼んでいるのですが、今日は初春にタイムリーな話題として、クラウド化が就活に与える影響について書いてみたいと思います。

ネットで何も出てこないのも問題

 企業が競争に勝ち残って行くためには、時代のニーズを読み、それに対応していかなければなりません。それと同様に、これから社会人生活を始めようという若い人たちも、時代の流れにあわせ、今日的な努力をしていかなくてはならないと思います。

 今日、時代という激流を泳ぎきるための努力の1つは、クラウドの中のコミュニケーション・リテラシーを身につけることです。つまり、ブログやSNS、Twitterなどさまざまなプラットフォームを通して「どのように自己表現するか」、あるいは「人とつながっていくか」、個人でもそういった戦略を真剣に練って、遂行すべき時代が来ていると思います。

 米国では応募者のクラウド内での活動をスクリーニングして、採用の是非を決めるという会社が増えています。採用担当者の大半が応募者の名を「Google」するといいますし、またSNSやTwitterをスクリーニングに用いるという企業も少なくありません。素行の悪さが疑われる言動や写真がある場合、前職の悪口や企業秘密の漏洩などが疑われる場合はもちろん採用不可ですが、かといって「Google」しても何も出てこない、というのも問題視されるそうです。このクラウドの時代、ソーシャル・ツールの使い方も知らなくては戦力にならない、ということだろうと思います。採用担当者がこういうプロセスをとっているのですから、当然、それに見合った就活対策を考えていくべきです。

 数多あるソーシャル・ツールの中で、Twitterは就活者がクラウド上のブランドを築き、長期的に意義あるネットワークを築いていくための格好のツールだと私は思っています。米国でも「個性」「創造性」「人間性」「コミュニケーション能力」「知識/経験」「人望」などをキーワードに、応募者のTwitter活動を観察して、採用の評価を下す会社が増えていると聞きます。

 日本でもつい最近、日経の3月8日付けの朝刊に、ECナビのTwitterによる採用活動の記事が載り、大いに話題になりました。ECナビの宇佐美進典社長自ら、Twitterで告知をし、Twitterのみで応募を受け付けたところ、1週間で返信が100人を超えたとか。ネットの会社への就職を希望する人の適性として、Twitterのような新しいツールを使いこなせることが問われる、ということもあると思いますが、何より「個」の時代に「自分を表現する力」「人とつながる力」を持つ人材が、ネット、リアルを問わずどんな企業においても強く切望されているのだと思います。

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