コラム
» 2010年03月29日 08時00分 公開

ちきりんの“社会派”で行こう!:日本人が“やめられない”理由 (2/3)

[ちきりん,Chikirinの日記]

日本人が“やめられない”理由

 なぜこんなに“EXIT”、もしくは“撤退”ができないのか。

 1つの違いは解雇の法的困難さです。その部門や工場で働く人の処遇に困るから撤退が遅れる。また、契約概念が希薄ということもあるのでしょう。欧米なら工場進出にあたって自治体から優遇措置を受けていても、契約の中に撤退条件も明記してあり、それ以上の義務はありません。しかし日本では、企業と自治体は運命をともにしているようで、工場撤退などは企業から自治体への仁義問題にさえなりえます。

 その他にも、日本の組織・個人が撤退が苦手な理由があります。

(1)リーダーさえ変化を望まない

 たとえ赤字でも、思考を止めて惰性に身を委ね、昨日と同じことを今日も淡々と進めるのは、とても楽です。動きを止めて何かを変えるにはエネルギーが必要で、誰かがその仕事を引き受け、泥をかぶらないと大きな変化は起こせません。

 この「泥をかぶってでも、変化を起こす人」をリーダーと呼ぶわけで、企業においてはトップ経営者がその役目を果たすべきです。工場1つ閉めるだけでも、経営者の仕事はものすごく増えるし、ましてや事業部門をクローズするのは、気が遠くなるほど大変な仕事です。

 しかし、高齢になってから“社長の順番が回ってきた経営者”は、そんなことには手を付けたくないのが本音でしょう。一方、欧米ではそういう「ものすごく大変な仕事を遂行すること」への対価として高額な経営者報酬が払われているので、「大変だからやりたくない」では済みません。株主も「変化は嫌い」などという経営者を許さない。そういうガバナンスが効いているのです。

 実際のところ、昨日と同じことをやり続けるだけなら企業には経営者はいりません。しかし、日本には“大きなことは何も決めない”経営者が存在し、株主もそれを許してしまい、その代わり経営者報酬もたいして大きくないということがあります。経営者に選ばれるのも“適切な年次のグループから”といわけで、最初から経営者職はお飾り(名誉職)のようにも思えます。

 突き詰めて言えば「リーダーとは何する人ぞ」という概念が違うのでしょう。欧米では「変化させる人」こそリーダーですが、日本では「できるだけ混乱を起こさないこと」がトップの責務です。だからリーダーまでがやたらとソフトランディングを選びたがるのです。

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