過熱感は強いが週末の米雇用統計を受けて円安に振れたことが好感されて堅調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年04月05日 16時02分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
前のページへ 1|2       

明日の相場雑感

 週末の米国雇用統計の発表を受けて、為替が円安となり円安を好感する格好で輸出関連銘柄を中心に買い先行となり、堅調な展開となりました。過熱感が強いこともあり、上値も重くなりましたが、利益確定売りは出るものの売り急がなければならいないような理由はなく、堅調な地合いが続きました。米ドルは1ドル90円、ユーロは1ドル125円と言う水準を超えて推移しており、業績上振れが期待されるだけに売り急ぐ動きはないようです。

 予想以上に堅調な地合いが続いていますが、こうなると強気な向きも増えてくるものと思います。ただ、確かに足元では業績の回復は確実視されており、また、個人消費なども底入れ感が出て来ているようです。まだまだ、リストラの懸念が薄れた、とか在庫調整が一巡したということや、中国やインドなど新興国での恩恵などが業績上振れの要因であり、国内景気の回復、内需の回復までは確認できないということなのではないかと思います。

 ただ、2月の商業販売統計で小売り全体が2カ月連続でプラスとなったこと、セブン・アンド・アイHD(3382)傘下のそごう・西武の3月既存店売上が25カ月ぶりに前年同月比でプラスに転じたこと、衣料品店でもファーストリテイリング(9983)の「ユニクロ」が3月は既存店売上高が16.4%減となり、逆にユナイテッドアローズ(7606)の3月既存店売上高は4カ月連続でプラスとなるなど、これまでの流れに変化が出てきていると思います。

 株価だけを見てもファナック(6954)が2008年6月末以来約1年9カ月ぶりの高値をつけるなど明らかに変化が見られます。企業業績ばかりではなく、投資(設備投資も含めて)や個人消費の部分でも「サブプライム・ショック」=「金融不安」から変化しているものと思います。目先的には過熱感が強く、調整も見られるのでしょうが、根本的な部分での変化、大きな経済の流れの変化は見落とすことなく、気付き、そしていち早く対処して行くことが必要なのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.