過熱感が強いところで、円高となり、利益確定売りに押されて軟調となりました。朝方は米国株高や外国人買いが期待されて買い先行となったのですが、買い一巡後は上値の重さを確認して売られ軟調となりました。過熱感がかなり強いだけに、上値の重さが確認されると売り急ぐような動きも見られ、一旦そうした売りが見られると「戻れば売り」「下がれば売り」となってしまい軟調な地合いとなりました。
昨日は騰落レシオ(25日間の東証一部の値上がり銘柄数合計を値下がり銘柄数合計で割ったもの)が150%を超えました。120%を超えると過熱感が強いとされて、通常、「過熱感が強い」と言う状況でも130%台ということが多く、150%台と言うのはかなり過熱感が強まっているということです。過去の例を見てみると、1998年2月12日(155.41%)まで遡らないと150%を越えたことはなく、そのときはその後日経平均は7%程度下落となりました。
1994年6月から昨日までの間では前述のほかは1997年5月19日の155.35%、1996年4月18日の152.71%があります。1997年のときはその後ほとんど下がらず、もみ合いながらも堅調な地合いが続き、1996年のときは150%超えた後も1週間は上昇しましたが、その後5%程度下落となりました。もちろん、150%超えてもすぐに暴落、急落となるわけでもなく、堅調な展開が続くこともあるのでしょうが、少なくとも「当面の高値圏」と言うときには騰落レシオが高い=120%を超えていることが多いのではないかと思います。
RSIやストキャスティックスなども同じような見方ですが、こうした過熱感を示す指標が過熱を示しているからといって、そこがピンポイントで高値になることは少ないと思います。ただ、逆に「高値」とされたところでは前日よりは騰落レシオが低い、とかそういうことはあっても少なくとも「高い水準」であることには変わりなく、過熱感が強い水準を「売りゾーン」とし、弱い、過熱感のない水準を「買いゾーン」とした場合、むきになって「売りゾーン」で買う、あるいは「買いゾーン」で売るというようなことをする理由は見当たらないと思います。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
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