欧州金融不安の緩和を好感して堅調だが決算発表の本格化を控えて上値も重い清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年04月13日 08時27分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>11005.97△8.62

<NASDAQ>2457.87△3.82

<為替:NY終値>93.24-93.3

欧州金融不安の緩和を好感して堅調だが決算発表の本格化を控えて上値も重い

 欧州連合(EU)がギリシャ向け金融支援策の具体的な内容で合意したことを好感し堅調な展開となりました。節目と見られるダウ平均の11000ドルを超えて堅調な展開となったのですが、決算発表の本格化を前に達成感からの手仕舞い売りも嵩んで上値も重くなりました。上値の重さを嫌気して売り急ぐ動きもなく、商品相場や為替なども落ち着いた動きで方向感はなく、株式市場も利益確定売りとヘッジ売りの買い戻しなどがせめぎ合いながら大人しい展開となりました。

 懸念された欧州の金融不安は払拭された感が強いのですが、既にある程度織り込まれていたこともあり、大きな上昇には繋がりませんでした。「金融相場」から「業績相場」へ移行している中で、決算動向が気になるということなのでしょう。商品相場が落ち着いており、インフレ懸念などもなく、順調に景気回復を織り込んでいるので、決算発表で業績の回復をしっかりと示されると堅調な地合いが続くことになるのでしょう。

 個別には決算発表を控えたアルコアは商品市況が堅調となっていることもあり、堅調となりましたが、予想を上回る決算であったにも関わらず、引け後の時間外取引では軟調となっています。欧州での金融不安が薄れたことから、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカ、シティグループなど金融株が堅調、金先物価格は上昇したのですが、ニューモント・マイニングやパブリック・ゴールドなど金鉱株は利益確定売りに押されて軟調となりました。景気回復を織り込む動きも強く、投資判断の引き上げのあったキャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)など景気敏感銘柄は堅調となりました。ハイテク銘柄も利益確定売りに押されるものが多く小動き、まちまちとなり、インテルやIBMは軟調、アップルやグーグルは堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は先週末の米国株高や欧州の金融不安が薄れたことを好感して買い先行となり、一時大幅高となる場面もありました。さすがに物色一巡感や過熱感が強く、上値も重くなりましたが、出遅れ銘柄などを物色する動きは続き堅調となりました。外国人が売り越しと伝えられたことも最後まで買いきれずに上値を押さえる要因となりました。

 米国市場は堅調となりましたが、上値が重く、為替も落ち着いているのですが、対ユーロで若干円高となり、目先的な過熱感は依然として強く、物色一巡感もあるという状況で、本日の日本市場は上値の重い展開となりそうです。出遅れ銘柄を物色する動きも一段落となると改めて先駆した銘柄を物色することになりそうですが、小型銘柄まで物色対象が循環し、決算発表を前に業績回復を織り込む展開も一服となりそうです。自動車株などを中心に輸出株が円安傾向となったことでの収益上振れ期待から再び物色されることになるのかどうかが注目されます。

 引き続き上値の重い展開は続きそうです。TOPIXでも1000ポイントをつけたことで、いったん達成感も出てくるものと思われ、米国の決算発表が本格化するのを前に利益確定売りが嵩み日経平均の11300円から400円水準を上値の節目として確認するような展開となりそうです。逆に下値も11000円を大きく割り込んで売り叩くような動きもなさそうで、目先的には11100円台半ばから200円の水準が押し目の目処となり、もう少し調整が大きくなっても11000円前後、あるいは10800円から900円では底堅くなるものと思います。

本日の注目点

◇3月の企業物価指数(日銀)

◇2月期決算:J・フロントリテイリング(3086)、スギHD(7649)、ライフコーポレーション(8194)、DCMJapan HD(3050)

◇9−2月期決算:島忠(8184)

◇6−2月期決算:東洋炭素(5310)

◇2月の米貿易収支

◇バーナンキ米FRB(連邦準備理事会)議長が講演

◇1−3月期決算:米インテル(14日早朝)

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