米国株高を好感して買い先行となるも、上値の重い展開(2/2 ページ)

» 2010年04月15日 17時21分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株は好調な決算発表や経済指標の発表を受けて堅調、大幅高となりましたが、日本市場は買い先行となったものの上値の重い展開となりました。中国のGDP(国内総生産)などの発表を控えて動きが鈍いのかと思われましたが、予想を上回る成長が確認されてもほとのど反応することはありませんでした。売り急がなければならない材料にも乏しく、底堅さも見られるのですが、買い戻しを急ぐ動きも少なく堅調ながらも上値の重い展開となりました。

 中国での人民元の切り上げや金融引き締めが懸念されるなかで、GDPやCPI(消費者物価指数)が発表されましたが、事前に漏れていたこともあり、特に材料視されることはありませんでした。為替もほとんど動きはなく、業績上方修正が伝えられても反応の鈍い銘柄が見られるなど、一応経済指標などの材料を懸念してはいるものの、そうした材料には関係なく、目先の需給要因だけで動いているようです。

 今に始まったことではないのですが、日本市場は経済指標などへの反応が鈍いのではないかと思います。個別企業の決算動向への反応も鈍く、好決算であっても「知ったら仕舞い」とばかりに手仕舞い売りに押されたり、反応が長続きしなかったりと本当に市場参加者が限られ、じっくりとした投資がし難い相場展開となっているのではないかと思います。昨日米半導体大手の好決算への反応も鈍かったのですが、昨日はとりあえず反応して上値は重いながらも堅調でしたが、早くも利益確定売りに押されるものも散見されるなど「利益確定売りをしっかりとこなして堅調」と言うわけには行かないようです。

 個別企業の2010年3月期決算の発表も再来週から始まりますが、今期業績の見通しなどが期待されるものの、慎重な見方をする企業が相変らず多く、決算発表と同時に好業績であっても売られてしまうのではないかとの見方も出ており、現在の好材料にも積極的に乗り切れないということなのでしょう。大きな流れが悪い方に変わっていないのであれば、これまで通り、遅い早いはあるのでしょうが、戻りを試す相場あり、先高期待からもっと買われる場面も出てくるのでしょう。目先的には過熱感が強く、最後まで買い切れず、早め早めに利益確定売りも出てくるということなのでしょう。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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