ギリシャ問題一段落で大幅高だが、持高調整の売りは続き上値も限定清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年05月10日 15時52分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 週末の米国市場は連日の大幅下落となりましたが、日本市場は既に織り込んでいたというわけでもないのでしょうが、ギリシャ問題が解決に向けて動いていることや資金供給を行なうことなどが主要国の間で示されたことなどを好感して堅調となりました。為替が円安方向に戻る傾向を見せたことから信用収縮懸念が一服となったとの見方もあり、買戻しを急ぐ動きも出たものと思います。ただ、ファンド系の持高調整の売り買いが中心と見られ、特に材料のない中で同業種の中で売り買いまちまちとなるものも見られました。

 先週の米国市場の下落は欧州金融不安がきっかけとはなったものの、システム上のトラブル要因が主体となっていたのではないかと思われます。欧州発の金融不安から金利の上昇懸念もあり、リスク許容度が低下、リスク資産を売り急ぐ動きとなる場面もあったものと思います。引き続きファンドの解約などの持高調整の動きは続いているのでしょうが、値ごろ感からの買い戻しなども期待される局面ということなのでしょう。

 ギリシャ問題が2008年のベア・スターンズの破綻と同じだと言う向きもいるようですが、「サブプライム問題」とは違い、どちらかと言うと「ドバイ・ショック」などと同じではないかと思います。つまり、「ベア・スターンズ」のときは「次」に破綻するところがどこか、どれだけの規模で波及するのかも全くわからない状況であったわけです。ただ、今回はギリシャの次は、「ポルトガル」「スペイン」だと言われ、その次にイギリスだイタリアだ日本だと言われているわけです。

 ですから、ここで食い止めないと次々と広がることが明白であり、ギリシャへの支援の規模、つまりいくらつぎ込めば波及を食い止められるのかがはっきりとしているわけです。問題は根深く、完全な解決はほど遠く、そういう意味では解決は出来ないのかもしれませんが、この金融不安を食い止める出たても、食い止めるために流動性を確保することなどの処方もある程度わかっている(負担を嫌うかどうかだけ?)ので、目先的に落ち着かせることは出来るのではないかと思います。それよりも米国株式市場の急落となった要因とシステムの不備を抛って置く方が問題ではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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