米国株高に加え持高調整の売りが一段落、好決算に素直な反応となって大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年05月13日 16時03分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株が大幅高となったことや持高調整の売りが一巡となったことで大幅高となりました。好調な決算を発表するものも多く、素直な反応となって、これまでの懸念材料を打ち消すように買われました。明日のオプションSQ(特別清算指数)控えての思惑で先物が買われて指数を押し上げた面もあるものと思います。ただ、好調な業績を発表しながらも持高調整の売りに押されていたものが反発となるなど目先的な需給要因で大きく振れたものと思います。

 市場参加者が増えているような感じでもなく、相変らず目先筋の売り買いが中心となっているようです。好調な決算にも反応が鈍かったのですが、ようやく業績回復を織り込むように買われました。「降れば土砂降り」と言うことでもないのでしょうが、ここのところ上がるにしても下がるにしても大きな動きとなることが多いような気がします。いつもこのコラムで述べているように情報過多と言われるインターネット社会のなかで同じような材料に同じように反応している向きが多いということなのでしょう。

 動かないときは全く動きはなく、動くときは大きく動くことが多いのですが、皆が同じように動いていると言う事に加え、「動いた方に動く」と言う付和雷同型の売買が多いということなのでしょう。ちょっと動きが大きくなると慌ててしまうということもあるのでしょうし、先週の米国での急落も要因とすれば、今日の上昇なども同じと言うことなのではないかと思います。江戸時代の相場の本に「三猿金銭秘録」と言う本があるのですが、その中に「5分1割に従いて、3割4割向かう理と知れ」と言う言葉があるのですが、ある一定の水準を抜けると買う、売るという動きが一斉に出てくるということなのでしょう。

 「売るから下がり、下がるから売る」と言うことが瞬間的に起こり、いろいろな市場を巻き込んで大暴落となったのが先週の米国市場で、「買うから上がる、上がるから買う」と言う状況が今週初めの米国市場、そして本日の日本市場と言うことなのでしょう。好決算や金融不安が薄れたことが好感されて買われるから買い、そうした買いが入ると株価が上がるから「好業績に反応しなくてはならない」とばかりに一斉に買いが入って来るということなのでしょう。目先的にはそうした投資(投機?)でもうまく行くように見えますが、やはり、大きな流れを掴んで落ち着いて投資をする方がいいのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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