世界最大級の建設機械メッセ「BAUMA2010」に行ってきた松田雅央の時事日想(4/4 ページ)

» 2010年05月18日 08時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]
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BAUMAから見えてくるもの

 48万6000人が来場した前回のBAUMA2007には及ばないものの、世界不況やギリシャを震源とするユーロ不安の状況を考えれば今回のBAUMA2010は十分な成功として間違いない。欧州の景気は決してV字回復しているわけではないが、2009年の極端な落ち込みからは抜け出そうとしている。「よき時代が戻ってきました。メッセにおける商談件数は予想を超え、記録的な盛況となった2007年と比較しうる状況です。2009年の過酷な年から再起する、はっきりとしたシグナルです」(ツェッペリン建設機械有限会社のミヒャエル・ハイデマン社長)。

 BAUMAは専門メッセではあるが一般市民の姿も多く見られ、特に家族連れが目立った。市民の来訪が直接ビジネスに結びつくことはないだろうが、企業イメージの向上に役立つし、日常生活では接点を持ちにくい建設機械に青少年が興味を持ってくれれば社会的な意義も大きいはず。ブースによってはゲーム感覚で楽しめるシュミレーターを備え人気を集めていた。

 傾向として強く感じたのが中国をはじめとする外国企業の積極的な出展だった。建設機械メーカーが開発国に向ける視線は熱い。そういった意欲を背景として、上海でもBAUMA2010が開催され、インド・ムンバイでもBAUMA関連の催し物が開かれる。

 ただ、出展した中国企業の数は多いものの、個々のブースを見ると来訪者が多く盛況とは言い難い様子だった。中国製建設機械のイメージはお世辞にも高くはなく、世界市場において「中国ブランド」は形成できていない。HITACHI、KOMATSUといった日本発の世界ブランドに匹敵するものが育つには、まだ時間がかかりそうだ。中国製建設機械とどう付き合うべきか、欧州市場にはまだ戸惑いが強い。

巨大なマシーンをバック(左)、ショベルカーのシュミレーション(右)

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