欧米株の反発やユーロ安一服で買い先行で始まるも、持高調整の売り買いは続き上げ幅縮小清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年05月18日 16時32分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場が小幅ながら反発となったことや為替も円高一服となったことから、買い先行となりました。ただ、日本時間で昨日に続きユーロが売られたことや米国の反発も小幅に止まったことなろから上値が重く、上値の重さを嫌気するように後場に入ってからは一段と上げ幅を縮小、一時軟調となる場面が見られるなど相変らず冴えない展開となりました。

 持高調整の売りも一巡となった感もあるのですが、買い気の乏しさや欧州景気の悪化が新興国まで広がってくるのではないかとの懸念も根強く、最後まで買い切れないということのようです。相変らず、株を保有することで、メリットがあるわけでもなく、リスクが増えるということで単に「今日保有したくない」と言うことだけでも売られる理由となってしまうようです。先行きに対する不透明感が強くて持ち切れないというよりも、明日下がるといやだから持ち切れないというあくまでも目先的な動きが多いようです。

 「損切り」が大切、とか「利食い千人力」と言うことがよく言われますが、確かにこれだけ株式の売買手数料が少ないと、売買コストが低いと明日まで持っているよりも、今日のうちに売っておいた方がいいと考える向きも多くなるのでしょう。ずっと以前のように、株を売ると「有価証券取引税」がかかるとか、1年に何回以上売買すると株式の利益が総合課税になるとか、株を売り買いするコストが高いとそれだけ売るときや買う時にじっくり考えることになり、ちょっとしたことですぐに売られてしまうことはないかもしれません。

 売買コストが安いということはとてもいいことなのですが、売り買いのタイミングを早める要因となり、相場の波乱要因の一つとなっているような感じです。売買コストが高いと慎重な売買が多くなるということなのでしょうが、それはまたそれで、市場参加者の種類を狭めてしまうことになりそうです。売買コストを下げて市場参加者を増やし、保有リスクを減らす、つまり、保有することのメリットを増やすことで新たな参加者を呼び込むことも必要ではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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