ユーロ安は一服だが米国金融規制強化懸念、中国金融引き締め懸念も根強く大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年05月20日 16時03分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
前のページへ 1|2       

明日の相場雑感

 引き続き欧州金融不安や米国の金融規制の強化懸念などから信用収縮の動きが続き世界的な株安となっています。リスク許容度が極端に低下し、安全な資産へと資金が収縮してしまっているようです。これまで安全資産として買われていた金も昨日は米国市場で大きく売られ、その他の商品市況も軟調となるものが多く、金融緩和、財政出動による世界的な大きな資金の流れに変化が出ているのかもしれません。

 世界的な資金の流れが逆流を始めると「投機」資金ばかりではなく、「投資」資金までも萎縮してリスク回避に動き、そのリスク回避の動きがますます資金逆流のスピードを速めることになってしまうのでしょう。ただ、逆流のスピードがサブプライムの時のように大きな早い流れとなる前に逆回転を止め、再び潤沢な資金の健全な流れとして方向付ければ、景気回復、業績回復を素直に織り込む動きとなって来るものと思います。

 世界中で政治的に不安や懸念が募っており、足元の企業業績の回復、景気回復もこのトレンドが続くのかどうか、素直に反応してもいいのかどうかが不安なのだと思います。好調な決算と慎重な見通しと言うのは今回の景気回復過程では「当たり前」のことであり、これまでは為替が円高に振れる場面があっても終わって見ると上方修正ということが多かったのですが、毎回、決算発表時期に持高調整の売りなどもあって、株価から先に不安を煽っているようなところも多いのではないかと思います。

 もちろん慎重な投資と言うことは必要なのでしょうが、リスクを取ることを極端に嫌がっているような気がします。「陰極まれば陽となり、陽極まれば陰となる」と言うように、2月のときも昨年7月のときもそうでしたが、「まだまだ」と思っているうちに大相場が始まっていることもあるのではないかと思います。もう一度業績の先行きを考え直しても良いのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.