世界的な信用収縮、リスク許容度の低下が加速されて大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年05月21日 17時51分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 ギリシャ問題に端を発した欧州金融不安もいつの間にか金融規制強化を嫌気するリスク資産からの逃避となり、欧米株式が大幅下落、高金利通貨も大きく売られ、商品相場も軒並み大幅下落となるなど世界的に大波乱となっています。日本市場は為替に落ち着きが見られたことから、底堅い場面も見られましたが、信用収縮の動きからの手仕舞い売り、持ち高調整の売りも多く戻り切らずに大幅下落となりました。

 ギリシャの問題とばかり思っていたら・・・、と言う感じではないでしょうか?このコラムでもいつも述べているように相場の本質をしっかりと把握すれば、どうなれば反発するのかどうならないと下がり続けるのかと言うことも見えて来るのではないかと思います。ドイツで金融規制が強化されたことで、それでなくてもギリシャ問題やユーロ安でリスク許容度が低下したところに、新たに規制がかかることでますますリスクが取れなくなったということなのでしょう。

 加えて、米国でも規制が強化され、中国でも引き締め懸念が残るということで取らなければならないリスクが大きくなりすぎて、リスクのあるものはどんどん処分することになったものと思います。ただ、実際に規制強化が世界的な流れになったということでもなく、市場が混乱し景気動向に響くようであれば、規制強化の動きも引き締めの動きも、「出口戦略」ももう一度緩める方向に向かうのではないかと思います。

 投機的な動きに振り回されるのが嫌だからといって何もかもやめてしまうということでもなく、いったんリスクをゼロにしてリスクの低いところから徐々に投資を増やす、と言う動きも出てくるものと思います。日米の金利がまた低下してくれば、「金利裁定」が働き、資金の流れに滞りさえ起こらなければ、またリスクの取れる資金も次々と出てくるものと思います。バブルを押さえるために、実体経済まで押さえられてしまうのかどうか、もう少し様子を見てもいいのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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