金融不安が強まりダウ平均は大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年05月25日 08時24分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10066.57▼126.82

<NASDAQ>2213.55▼15.49

<為替:NY終値>90.29-90.35

好調な住宅指標への反応は限定、金融不安が強まりダウ平均は大幅下落

 スペイン中央銀行が週末に経営難に陥った貯蓄銀行を公的管理下においたと報じられ、改めて欧州での金融不安が増大、銀行間ドル金利が上昇したこともあって、金融株を中心に大きく売られました。午前中に発表になった中古住宅販売が予想を上回ったことなどから、景気回復、企業業績を見直すように買戻しに加えて値ごろ感からの買いも入り堅調となる場面もあったのですが、最後は見切売りや信用収縮からの手仕舞い売りに押されてダウ平均は大幅下落、堅調な推移となっていたナスダック指数も軟調となりました。

 足元の経済指標や企業業績に懸念はないものの欧州の金融不安が景気を減速させるのではないかと懸念も根強く買い手控えとなっているようです。加えて信用収縮=リスク許容度の低下から売り急ぐ場面もあり、ちょっとした手仕舞い売りに押されてしまうようです。金融規制強化への懸念も相変わらず根強く、改めてリスクを取るような動きにはならず、リスク許容度が高まらないようです。リスク許容度が再び高まるか、新たな買い手が現れないとなかなか底入れ感も出てこないものと思います。

 個別には目標株価の引き上げや好調な業績を織り込んでアップルやグーグルが買われ、投資判断の引き上げのあったスプリント・ネクステルや手仕舞い売りの少なかったシティグループも堅調となりました。反面インテルやIBMなどは軟調、欧州金融不安からJPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカは大幅下落となりました。金融不安からの景気減速懸念もあり、GE(ゼネラル・エレクトリック)やキャタピラーなど景気敏感株も軟調、中古住宅販売件数は予想を上回ったもののKBホームやDRホートンなど住宅株は在庫水準の上昇が嫌気されて売られました。原油や金の先物価格は上昇し、エクソン・モービルなど石油株やニューモント・マイニングなど金鉱株は高くなったのですが、アルコアは安くなりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は週末の米国株高などに反応せず軟調となりました。売り先行で始まった後は買戻しも入り底堅さも見られ、後場には堅調となる場面もあったのですが、積極的に買い上がるような動きはなく、持高調整が中心となるなかで方向感のない展開となりました。信用収縮の動きが続き、業績面などと関係のないようなところで、持高調整の売りに押されている状況です。

 引き続き米国株安やユーロ安を懸念する動きとなりそうです。ただ、信用収縮の動きは続くのでしょうが、中国の金融引き締め懸念が薄れたことで、景気回復を織り込むような形で売られすぎた銘柄などの買戻しも期待され、底堅い展開となるのではないかと思います。欧州の金融不安や金融規制、米国での金融規制強化に対する懸念は根強く、積極的な買いは入り難くなっており、底堅さが確認されて戻りを試す展開となっても持高調整の売りが一巡とならないと上値も限定されてしまうことになりそうです。

 昨日の相場である程度米国株安やユーロ安を織り込んでいたとしても信用収縮の動きが続き、下値を試す展開となりそうです。昨日や週末のように9700円を割り込んだところでは売り急ぐ動きが止まるのかどうか、買戻しが入るのかどうかを見極めることになりそうです。信用収縮=持高調整の動きが続き、あっさりと9700円を割り込んでしまうようであれば、9500円から600円水準での落ち着きどころを探すことになりそうです。上値は昨日のように9800円水準を意識すると重くなりそうです。持高調整の売りが止まって切り返し、9800円台で引けるような展開になれば目先的な底入れ感も出てくるのでしょう。

本日の注目点

◇3月の米S&P/ケースシラー住宅価格指数

◇5月の米消費者信頼感指数

◇2年物米国債入札

◇3月のユーロ圏鉱工業新規受注

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.