リスク許容度の低下が一段落となり、買い直されて大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年05月28日 08時50分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10258.99△284.54

<NASDAQ>2277.68△81.80

<為替:NY終値>90.99-91.05

「欧州売り」一服で信用収縮=リスク許容度の低下が一段落となり、買い直されて大幅高

 中国がユーロ圏の債券保有を見直しているとの報道を否定したことや値ごろ感からの買いが入り大幅高となりました。欧州金融不安が一段落となったことから、ユーロが買われ、信用収縮の動きも一服となり、買い戻しや買い直す動きが商品市場などにも見られ、米国株式市場も大幅高となりました。前日の下落を取り戻す以上に週末を控えて買戻しを急ぐ動きもあったものと思われ、大幅高となりました。

 新興国を中心に世界的な景気回復は続いており、欧州金融不安を払拭するような格好となりました。中国、インドなどの新興国、中東産油国の資金頼みという感はあるのですが、世界的な規模での景気動向を見ると、底割れ懸念は薄いということなのだと思います。米国でも経済指標は好調なものが多く、景気の回復、企業業績の回復は順調であり、「出口戦略」や「金融規制強化」の懸念は残るもののこの水準からは底堅さも見られ、売られ過ぎの修正もあるものと思います。

 個別には欧州金融不安が一服となったことなどから金融株が買われ、シティグループ、バンク・オブ・アメリカ、JPモルガン・チェースの銀行株やアメリカン・エキスプレス、ゴールドマン・サックスなど金融株は軒並み大幅高となりました。景気減速懸念も薄れ、新興国を中心に景気回復が継続していることを確認するようにハイテク銘柄も買われ、インテル、マイクロソフト、グーグル、アップルは大幅高、IBMなども堅調となり、原油価格が上昇したこともあり、エクソン・モービル、シェブロンも大幅高となりました。キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)、アルコアなど景気敏感株も軒並み大幅高でした。決算発表にも敏感に反応、好決算となったティファニーやコストコ・ホールセールも大幅高となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安などから売り先行となったのですが、円高一服となったことや値ごろ感からの買い、持高調整の売りが一巡となったことに加え、OECD(経済協力開発機構)が日米欧の成長率を上方修正したことなどが好感され、大幅高となりました。疑心暗鬼な相場で上値の思い場面もありましたが、まとまった買戻しが見られると売られすぎ銘柄などを中心に買戻しを急ぐ動きもあり、大幅高となりました。

 米国市場が大幅高となったことや円安を好感して堅調な展開が期待されます。週末ということですが、昨日までの相場で手仕舞い売りはある程度出たものと思われ、どちらかというと買戻しを急ぐ動きも出てくるものと思います。昨日の大幅高で米国株高を織り込んだ面もあるのでしょうが、欧州金融不安が一服、信用収縮の持高調整も一服となり、売られ過ぎ銘柄の修正高は続くものと思います。割安感が強まっているハイテク銘柄や商社、非鉄株などは買戻しも交えて堅調となるものと思います。

 取引時間中の安値はありますが、引け値だけを見ると結果的に9500円〜600円の節目で下げ止まったということになるのかもしれません。9800円〜900円水準をしっかりと固めるような展開になると底入れ感も出てくるのでしょう。9800円前後で上値を押さえられるようであれば、まだ9500円〜600円での底堅さを確認するような動きとなるのでしょうが、9800円をつけるような展開になれば、9000円を割り込むというような恐怖感は薄れるのではないかと思います。

本日の注目点

◇4月の有効求人倍率(厚労省)

◇4月の完全失業率(総務省)

◇4月の全国5月の都区部消費者物価指数(CPI、総務省)

◇4月の家計調査(総務省)

◇4月の商業販売統計速報(経産省)

◇5月の米消費者態度指数(確報値、ミシガン大学調べ)

◇4月の米個人所得

◇4月の米個人消費支出(PCE)

◇5月のシカゴ購買部協会景気指数

◇米メモリアルデーの祝日の前営業日で債券市場は短縮取引

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