第33鉄 個室じゃなくても楽しいよ! 豪華寝台特急トワイライトエクスプレス杉山淳一の+R Style(1/6 ページ)

» 2010年05月29日 10時30分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

 鉄道ファンのみならず、旅好きな人の憧れの列車といえば「カシオペア」「北斗星」そして「トワイライトエクスプレス」だろう。いずれも日本を代表する豪華寝台特急だ。これらの列車の共通点は食堂車を連結し、ロビーカーを備え、個室寝台を連結するところ。そしてもう1つ「人気が高くてチケットを取りにくい」という特徴もある。今回は3つの列車の中でもっとも走行時間が長い「トワイライトエクスプレス」の旅をご紹介する。

 「トワイライトエクスプレス」は、大阪と札幌を結ぶ寝台特急だ。走行距離は約1495km、所要時間は約22時間。ほぼ一日を列車内で過ごすと聞くと、それは退屈かもしれないと心配になる人もいるかもしれない。

 トワイライトエクスプレスは「目的地に早く着いて、現地でのんびり滞在し、ギリギリまで過ごして急いで帰る」旅とは対極にある。こういう旅を経験する人はごく少数だろう。しかし、トワイライトエクスプレスに乗ってみれば分かる。「現代の贅沢は、お金を使うことではなくて、時間を使うことなんだ」と。

今回のルート。GoogleMapsで筆者による各ポイントについての説明が読める

大阪発は真昼。非日常の旅にふさわしい出発風景

 商都・大阪。私にとって大阪のイメージは「元気な商売人がバリバリ活躍し、モリモリ食べる街」。偏見かもしれないけれど、東京より人々のテンポが速い気がする。大阪駅は、まさしくそのイメージどおり。大阪環状線が次々と発着し、複々線の東海道本線を新快速が駆け抜ける。端っこの特急用ホームも、西は山陰方面、東は北陸方面への列車が忙しく入れ替わる。

 その大阪駅の特急用ホームに、凪のように落ち着いた時間がある。真昼の12時。深緑の客車を連ねて、同系色にコーディネートされた機関車がやってくる。なんと「トワイライトエクスプレス」の発車時刻は11時50分。夜行列車にもかかわらず、大阪駅を出発するのは真昼。ここからして非常識……もとい、非日常的な列車である。

ブルートレインではなく濃緑の列車。東欧の列車のような趣がある
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