第33鉄 個室じゃなくても楽しいよ! 豪華寝台特急トワイライトエクスプレス杉山淳一の+R Style(4/6 ページ)

» 2010年05月29日 10時30分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

緊急避難(?)以外はずっとロビーで過ごす

 食後もロビーカーに空席を見つけたので、寝台に戻らずにたたずんでいた。独り占めせずに譲り合って使いましょう、という空間だが、意外に空いている。個室のお客さんは個室で自分の時間を楽しむ人が多いようだ。午後の日差しが遠くに傾いていき、西日を浴び、やがて暮れていく。まさにトワイライトな時間がやってくる。私が乗ったときはまだ日が短くて、富山あたりで暗くなってしまった。真夏なら、きっと親不知子不知の海岸線や笹川流れあたりの夕日を眺められるだろう。

日が沈むまでの「トワイライト」な時間。トワイライトエクスプレスは海沿いを行く

 自分で乗っていない時期だが、おススメは真夏の札幌行き。というのも、このあたり、大阪行き列車はほとんどトンネルを通過するからだ。北陸本線は、もともと海沿いに単線で作られ、かなり時間がたってから複線にした。その間に土木技術が進歩したので、新しい方の線路はどんどんトンネルを掘ったらしい。スピードは上がったけれど、景色は犠牲になってしまった。

 日が暮れたらディナータイム。食堂車は予約制になっている。そして私たちは予約しなかった。なぜなら私が偏食で、魚嫌いだから。トワイライトエクスプレスは日本海側を走るだけに、メニューは海の幸が中心らしい。しかもコース料金が1万2000円! もちろん日本の食堂車メニューの最高金額だ。僕たち中年だけど、まだまだ質より量なんだよね。というわけで、晩御飯は大阪駅で仕入れておいた神戸牛ステーキ弁当とカツサンドにした。これをロビーで食べようとしたら、なんとここからロビーが大混雑。食堂車から個室客向けにルームサービスされる懐石弁当を、ロビーで楽しむ人がたくさんいらっしゃる。複数の個室を利用するグループ客が、食事だけは一緒に食べようということらしい。魚料理の匂いが強くなってきて、たまらずにB寝台に避難した。

贅沢すぎる(?)ディナーコースを敬遠して、神戸のステーキ弁当を。ディナーコースより一ケタ安い1200円

 ここで初めて、相席となったお客さんと挨拶。おばあちゃんと小学生のお孫さんで、寝台車で北海道へ行くという。パパとママは明日の飛行機で現地入りとのこと。時間がある人はゆっくり行けばいいんだよ、としばらくおしゃべりしつつ、寝台で荷物の整理。そしてグダーッと横になって過ごす。背を伸ばして、腕を伸ばして……ああ、気持ちいい。うっかり眠ってしまいそうだ。しかし時間を見計らい、再び弁当持参でロビーカーへ。

眠り、目覚めればそこは北海道

 夕食を済ませると景色は真っ暗。食堂車はパブタイムに移り混雑していた。じゃあ、寝ちゃおう、というわけで寝台へ。寝台車の旅なのだから寝なくては損だ。21時ごろには眠りについて、そのおかげで4時に目覚めた。

 気合いの早起きではなく、たっぷり眠った4時起きは、実にすがすがしい気分。眠っている間に列車は青函トンネルをくぐり抜け、北海道を走っていた。ささっと着替えて、またまたロビーカーへ。朝早いため、私のほかに2人しかいなかった。

目覚めれば北海道。ロビーから大沼国定公園を眺める

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