週末の米国市場安やユーロ安を嫌気して売られ、大幅安清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年06月07日 15時59分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 ギリシャの次はスペインだポルトガルだと言われていましたが、伏兵ハンガリーが登場し、世界同時株安となりました。先日のフランス国債格下げの噂でユーロが売られ、株が大きく下げたのと同じ構図で、信用収縮、リスク許容度の低下を招き、売り急ぐことになったのでしょう。「サブプライム」の時もそうでしたが「格下げ」がリスク許容度を低下させ、資金の流れを滞らせるということなのでしょう。資金の逆流が生じており、そろそろどこかで止めないと、再び売りが売りを呼ぶようにますます逆向きのスパイラルに陥ってしまいそうです。

 米国市場で大きな下落となると日本市場も大きな下落となることは依然として多く見られます。本日のように、ハンガリーの財政懸念ということで売られても、「アメリカがくしゃみをすれば日本が風邪を引く」という状況は昔から変わらないようです。実際には米国での景気回復のスピード鈍ったということや金融規制強化が懸念されて売られたものと思われ、ハンガリーの問題は本来であれば、大きな影響のあるものではないと思います。

 以前も「上海発の同時株安」などと言われて大騒ぎしたこともありましたが、それも結局は上海株が売られたことが原因ではなく、金融引き締め懸念などから、信用収縮の動きがあり、円キャリー取引の解消などが大きな下げの要因となったこともありました。今回の世界的な為替や商品、株式などの市場を巻き込んだ混乱も、ギリシャやハンガリーの問題が原因ではなく本当のところは金融規制強化の動きが主な要因ではないかと思います。

 相場が大きく下落しているときはまだまだ下がると弱気になることも多いのですが、今の段階ではあくまでも「投機的な資金の収縮」であり、金融緩和や財政支出で膨らませた投機資金の回収という段階ではないかと思います。「野も山も皆一面に弱気なら、阿呆になりて買いの種まけ」と言う言葉もあり、ここまで売り急がなくてもいいところで売られているということであれば、売られすぎであり、売られ過ぎの修正は期待しても良いと思います。売る人が売り切ってしまえば、売りが止まり、ちょっとした買いでも反発に転じ、反発に転じると買戻しを急ぐ動きで一気に戻るような場面も見られるのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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