欧州財政危機の広がりやそれに伴う景気減速懸念が強まり大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年06月08日 08時48分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>9816.49▼115.48

<NASDAQ>2173.90▼45.27

<為替:NY終値>91.36-91.42

欧州財政危機の広がりやそれに伴う景気減速懸念が強まり大幅下落

 朝方は週末の大幅下落の反動やヘッジ売りの買戻しなどもあり堅調な展開となっていたのですが、欧州金融不安や規制強化の動きが景気にも影響を及ぼすのではないかとの懸念も根強く、上値の重い展開となり、上値の重さを嫌気するような売りが嵩んで大幅下落となりました。株価が下落することでリスク許容度が更に低下、改めてリスク回避の動きに出て株価が下がるというような悪循環も見られ、大きな下げとなりました。

 信用収縮が取りざたされていますが、疑心暗鬼な中で何もかもが危険に見えているような感じです。ギリシャ問題もハンガリーの問題も実際に経済への影響は大きくはないのですが、広がるのではないかとの懸念が不安を増幅させ、リスク回避に動くことで、ますます、リスクや不安が高まっているような感じです。政府当局者の一言でこれだけの波乱となっていますが、ちょっと萎縮しすぎているような気もします。

 個別には好材料への反応は鈍く、高機能携帯電話の新製品を発表したアップルや新型の高機能携帯端末の発売初日の販売が好調だったと発表したスプリント・ネクステル、証券会社が「買い推奨リスト」に載せたアマゾン・ドット・コムは軒並み軟調となりました。それでもディフェンシブ銘柄には堅調なものも見られ、皮膚がん治療薬の治療効果が確認されたブリストル・マイヤーズスクイブは大幅高となりました。金融株はシティグループやバンク・オブ・アメリカが大幅安となるなど軒並み軟調、景気減速懸念からキャタピラーなど景気敏感株やインテル、IBMといったハイテク銘柄なども軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は週末の米国株安や円高を嫌気して売り先行となり、買い気の乏しい中で大幅安となりました。信用収縮の動きからリスク回避の動きが強まり、個別の材料を好感して買われた銘柄や買戻しが入った銘柄に堅調なものが見られたものの、ほぼ全面安となりました。業績動向よりも目先の需給要因で売られるものが多く、これまで目先的に買われていたものほど大きな下落となっているような感じでした。

 米国株が大幅続落となったことから、日本市場も再び下値を試すことになりそうです。5月27日の安値水準を窺う場面では底堅さも見られるのでしょうが、円高に振れたこともあり、輸出株を中心に売り急ぐ場面もあるのかもしれません。景気悪化に対する懸念も出ているようですが、売られすぎの感も強く、底堅さを確認し、為替が落ち着けば買戻しも入るのではないかと思います。米国でも景気の「二番底」懸念も出ているようですが、返って米国での「出口戦略」や中国での金融引き締め懸念が後退すれば、リスク許容度も上昇して来るのではないかと思います。

 9400円水準を割り込むかどうかが、割り込む場面では底堅くなり、引け値ベースで9500円水準を保てるのかどうかが注目されます。昨日は9500円を何とか保って終わりましたが本日も米国株安に押されても、9400円水準ではさすがに底堅さも見られるのでしょう。引け値ベースでの安値、5月25日の9400円台前半を割り込むのかどうか、しっかりと9500円水準まで戻して引けるのかどうかが注目されます。

本日の注目点

◇4月の国際収支(財務省)

◇5月の貸出資金吸収動向(日銀)

◇5月のマネーストック(日銀)5月の対外対内証券売買契約(財務省)

◇5月の景気ウオッチャー調査(内閣府)

◇4月の景気動向指数速報値(内閣府)

◇5月の企業倒産(民間調査会社)

◇30年物国債〔6月債〕入札

◇米3年物国債入札

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