「高い美意識と審美眼を持ち、本物を知った30代男性」に向けたライフスタイルのクオリティアップを提案する、インターネットメディアです。アート、デザイン、インテリアといった知的男性の好奇心、美意識に訴えるテーマを中心に情報発信しています。2002年11月スタート。
※この記事は、エキサイトイズムより転載しています。
東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTで開催中の「ポスト・フォッシル:未来のデザイン発掘」展。
会場に一歩足を踏み入れると、プリミティブな太鼓の音がどこからか聞こえてくる。その音に吸い寄せられるように進むと、そこにはトーテムポールのような形の大きなスピーカー。独特のユーモラスな表情を持った作品の名前は「リズム・オブ・ザ・マジックドラム」。ストックホルム出身の作家、マッツ・テセーリウス氏に話を聞いた。
今回の展覧会に出品した作品について、発案から実際の製作までの期間、この素材を選んだ理由を教えてください。
制作期間は約1週間ほど。この作品の素材は断熱材のスタイロフォームです。強度を保つために表面をコンクリートでペイントをしています。だから、見た目と違ってかなり軽いんですよ。
ちょっと込み入った話になりますが、僕は5人兄弟で家族全員アーティストなんです。上の1人は知的障害を抱えているんですが、絵を描いてときどき送ってくれます。3年前、その彼が描いた絵にアフリカンマスクがありました。それにインスパイアされて、このラウドスピーカーのアイデアが生まれたのです。
ラウドスピーカーから流れるのは自分でドラムを演奏して作った音楽です。私はピアノやギター、ドラムなど、いろんな楽器を演奏するのですが、中でも、ドラムは音楽をつなげる重要な役割を持つ楽器だと思っています。
21世紀に入って10年が経とうとしています。今後、デザイナー、アーティスト、クリエイターが担うべきことは?
社会、環境が変化して、消費者を取り巻く環境も変わっていくかもしれないけれども、つねに何かと何かを組み合わせて作り出していくこと自体は変わらず続いていくものだと思います。
1人のクリエイターとして、未来のデザインはどうなると思いますか?
未来のことは分からないけれど、リサイクルカルチャーは本物ではないと思います。リサイクルではなく、百年使えるものを作ればいいだけのこと。
私は商業主義的なデザインについては、あまり信じてないところがあります。ディーター・ラムスがデザインした一連のブラウンの製品のような、ミニマリズムと呼ばれるものは素晴らしいと思いますが、それを目指したものの中には、あまりにもスタイリッシュすぎるものがあると感じています。本物であるには良すぎる。
ミニマリズムのデザイナーはあまりにもシリアスで自分を客観視できていない状況のようにも思います。私は違う立場から、デザインに取り組んでいます。
デザイナー。1956年生まれ。スウェーデンを活動拠点とする。1979〜1984年ストックホルムのスウェーデン国立芸術工芸デザイン大学(コンストファック)で小規模建築を学ぶ。1995〜1996年、ヨーテボリのシャルメシュ大学のHDKデザイン工芸学校教授。アートとデザインにまたがる領域で活動し、作品制作、展覧会、セットデザイン、インスタレーション、出版、映画、音楽活動のほか、さまざまなデザインコミッションに関わる。ユニークなカスタムメイドアームチェアも制作。
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