週末の持高調整の売り買いが中心で売り買いまちまち、方向感のない展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年07月02日 16時30分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 売り飽き気分が強いことやユーロで円安に振れたこともあり、堅調な始まりとなりました。ただ、週末の米国雇用統計などの発表を控えて積極的に買い上がる動きはなく、指数は小動きとなりました。相変わらず外部環境とは関係なく、目先の需給要因=持高調整の売り買いだけで指数が振らされている感じであり、物色対象も定まらず、業績面からの見直しということでもなく方向感のない展開でした。

 中国や米国の景気回復が鈍化しているということで、株式市場は軟調となっていますが、本当に景気回復が鈍化しているのでしょうか?昨日の中国PMI(製造業購買担当者)指数や米国のISM製造業景況感指数も前月よりも悪いとは言え、まだ景気拡大、景気回復が見られるという数字であり、「景気回復」は鈍化しているのかもしれませんが、「景気」そのものが鈍化=減速しているわけではないのです。しかも、多分に金融不安や金融規制強化に対する懸念が指数を悪化させているということではないかと思います。

 世界的に見て、自動車が売れているのかいないのか、といえば売れているわけですし、新興国の生活水準が向上するに連れて中間購買層はものすごい勢いで増えており、生活必需品などの需要は確実に増えているわけです。経済の拡大自体は確実に起こっていることで、個々の企業業績の良し悪しはあるのでしょうが、世界景気全体の落ち込みは大きくはないと思います。「サブプライムショック」の後遺症でお金を借りて「投資」をする、「投機」をするという動きは縮小しているのでしょうが、いわゆる実態経済は拡大が続いているということなのだと思います。

 リスクが萎縮してしまったことで、投資や投機に回っていたお金が退蔵してしまい、株式が売られ、株式が売られるものだから誰も買わなくなって株価が下がり、ますますリスクを取れる資金がなくなるということなのでしょう。ここは財政出動や金融調節ではなく、株式を買うメリット、保有するメリットを与えることがリスク許容度を増すことになり、是非そうした施策が待たれるところです。税制の問題や株式の金銭的価値ばかりではないインセンティブを与えられるような方策が打ち出せれば、株式相場も活況になり景気も回復するのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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