ビアホールの客を増やしても気温は上がらない――相関関係と因果関係の違いとは(1/2 ページ)

» 2010年07月14日 08時00分 公開
[安田英久,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:安田英久(やすだ・ひでひさ)

インプレスビジネスメディアWeb担当者Forum編集長。プログラミングやサーバ、データベースなどの技術系翻訳書や雑誌『インターネットマガジン』などの編集や出版営業を経て、現在、Webサイト「Web担当者Forum」編集長。ビジネスにおけるウェブサイトの企画・構築・運用と、オンラインマーケティングの2軸をテーマにメディアを展開している。


 Excelには「CORREL」という関数があり、2つのデータ群について相関関係を簡単に出すことができます。しかし、この「相関関係」と「因果関係」を混同してしまっている例があります。統計ではごく基本的なことなのですが、基本的なことこそ大切なので、改めて解説しておきましょう。

 相関関係とは「ある値Aが増えた(減った)状態で、別の値Bが同様の変化を示していること」を意味します。また、「ある値Aが増えた状態で、別の値Bが減ること」を「逆相関」と言います。

 例えば、アクセス解析データで、ある期間の訪問者数とページビュー数の間で相関関係を出すと、かなり高い相関性が見られるでしょう。つまり、訪問者数が増える状況では、同様にページビュー数も増えているのです。

 また、海外&国内SEO情報で取り上げた「順位決定に与えるSEO要因比較 グーグル VS. Bing」でも、さまざまなSEO要因と順位について相関係数を示しています。

 上記の相関関係のデータは「訪問者数が増えればページビュー数が上がる」「URLにリンクしているルートドメイン名の数が多ければ多いほど検索結果での順位が上がる」という、原因と結果を表しているデータである可能性が高いでしょう。しかし、そうではない場合も多いのです。

 ここで重要なのは、相関関係が示すのはあくまでも現象であって、必ずしも「Aが増えればBが増える」という因果関係を意味しているわけではないことです。つまり、「相関性がある=因果関係がある」とは限らないのです。

 アクセス解析の例で言うと、「記事に対するツイート数とアクセス数に相関性がある」ことから、Twitterでスパムアカウントを大量に作成して各アカウントでツイートしまくったり、自分のTwitterアカウントで大量に記事へのリンクをツイートしたりしても、おそらくアクセス数はさほどは上がらないでしょう。幅広いアクセスを得るには、見てもらえているTwitterアカウントで、フォロワーが興味をもつ内容のコンテンツをツイートする必要があるのは、Web担当者なら分かることです。

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