お客さまを笑わせよう! 口も心も開くランチコンサルの秘密郷好文の“うふふ”マーケティング(1/2 ページ)

» 2010年07月15日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。12月、異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。コンサルタント・エッセイストの仕事に加えて、クリエイター支援・創作品販売の「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など、印刷業界誌『プリバリ[印]』で「マーケティング価値校」を連載中。中小企業診断士。ブログ「cotoba」。Twitterアカウントは@Yoshifumi_Go


 “パワーブレックファースト”と言えば、早朝勉強会や朝活のミーティングのこと。米国のビジネスパーソンが、朝のフレッシュタイムにした意見交換が始まりとも言われる。また、“パワーランチ”と言えば、シリコンバレーの起業家たちが投資家をランチに招いて、食事をしながらプレゼンをする場である。

 共通するのは「食べながら語り合う」ということ。食をともにすると心のバリアが下がり、提案も消化され商談もしっかり、投資判断も喉を通りやすくなるものだ。

 だが、「そのどっちも古いぜ!」というのが“ランチコンサル”である。スーパーピーアール社長の蓮香尚文(はすかひさふみ)さんは、PR課題を抱える経営者とともにランチを囲んで、コンサルティング助言をするのだ。そのコンサルの現場を実際に見ようと、錦糸町ロッテシティホテルのレストラン「高矢禮 火(ゴシレ ファ)」を訪ねた。

ランチコンサル開始

 約束の時間に遅刻気味で到着すると、店の奥の席ではすでにランチコンサルが開始していた。隅っこに着席して、蓮香さんの助言に耳を澄ます。1つ目の“お題”は、Tシャツで有名な久米繊維工業の広報担当である盛本純子さんから。

 「久米繊維ではこれまで日本ならではのTシャツを数多く作っており、それらをまとめた『●●Tシャツ百選ブログ』を準備しています。そのテーマやPRをどうしたらいいか、アドバイスをいただけませんか」

 久米繊維では、たくさんの企画TシャツやクリエイターTシャツを出して話題作りをしてきた。「それらをまとめてPRしたいのですが、どうしたらいいですか?」との問いに、蓮香さんはずばり答えた。

 「Tシャツをソーシャルにしましょう」

左から斎藤さん、菊地さん、飛び入り参加の小高莫大小工業社長の小高集さん、蓮香さん、盛本さん

 久米繊維にソーシャル事業部を立ち上げ、社会対応型Tシャツ事業を始める。環境や医療、介護や教育など非営利団体を通じて、Tシャツを社会活動ツールにしよう。

 例えば、ある団体が広めたいメッセージがある。盛本さんはそのメッセージを広報するお手伝いも兼ねて、“ソーシャル・Tシャツ・コンシェルジェ”となってTシャツの制作支援をする。テーマがタイムリーで話題性があれば、マスコミが次々に取りあげて、団体にとってはPRになり、Tシャツ実売にも好影響の一石二鳥とのこと。なるほど。

 もともと蓮香さんは、自分の顧客とランチを食べながら助言をしていた。ランチ代を支払ってもらう代わりに助言をするシステムだ。それを聞いた盛本さんが、「ランチコンサルを1人でも受けたいのですが、交通費は負担するので墨田区まで来ていただけないでしょうか」と投げかけた。そして、せっかく来てもらえるならほかの人にもと、さらに2人が参加することに。当日の飛び入り参加もあって、4人対1人のランチコンサルが開催されたというわけだ。

 盛本さんが蓮香さんに事前に渡していたリストには課題びっしり。はた目からは商売繁盛のように見えるが、色々あるのだろう。ここまででサラダと前菜は終わり。さあてメインコース。

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