先週最も読まれた記事は「業界が“先祖返り”している――『ハルヒ』『らき☆すた』の山本寛氏が語るアニメビジネスの現在」。2位は「引きこもりに男性が多い理由」、3位は「意外と耳にする!? これが部下をつぶす質問だ」だった。
「業界が“先祖返り”している――『ハルヒ』『らき☆すた』の山本寛氏が語るアニメビジネスの現在」で山本氏が語っているように、映像で商売することが難しくなっているアニメ業界。山本氏はアニメを広告としてフィギュアを売る“先祖返り”を行っているわけだが、そんなアニメ業界でも昔にはないムーブメントが起こっている分野もある。それは、アニメキャラクターなどをプリントしたクルマ“痛車”である。
筆者は慎み深い日本人なので、「痛車は主張が強すぎる」と否定的にとらえていたのだが、最近、その認識を変えさせられる出来事があった。
先日、自転車でスーパーへ買い物に出かけた時のこと。買い物を終えて、停めていた自転車に乗ろうとすると、誰かがイタズラでサドルにシールを貼り付けていた。筆者は極度の怠け者なので、数日そのままにして乗っていたのだが、そうしているうちにあるメリットに気付いた。シールがあることによって、自分の自転車が識別しやすくなるのである。
筆者の自転車は、量産型のママチャリ。自転車置き場では似たような車種が多く停まっているので、探すのに時間がかかってしまいがちだった。完全に同じ車種だった場合には、実際にカギを差し込まないと判別できないこともあった。しかし、車体にシールが貼ってあると、段違いに見つけやすくなるので、その悩みからは開放されたのだ。
そんなわけで筆者の自転車は今、“痛チャリ”と化している。誰かが貼ったシールは雨に濡れてボロボロになってしまったので、初音ミクの耐水性ステッカーを新たに買ってきて、サドルの左右と後輪の泥よけに貼り付けているのだ。こうすれば、どの方向からでもステッカーが目に入るので、自分の自転車と認識できる。もちろん、認識しやすくするためだけなら、マジックで名前を書く方法などもあるのだが、それでは遊び心が足りないかなと思って、あえて“痛チャリ”にしているのだ。
コスト削減のために同じ商品を大量生産して、消費者に届けている現代。お金をかけずに人と違うものを得ようとすると、メーカーではなく消費者が何らかの工夫をする必要がある。そんな時代の流れに応じてか、テレビ朝日の「お願い!ランキング」では「ちょい足しクッキング! 『吉野家の牛丼』編」と題して、牛丼に足したらおいしくなる食材について紹介していたこともあった。賃金が右肩上がりだった時代もすでに終わったので、消費者によるカスタマイズの動きは今後、さらに広がっていくのではないかと思う。
痛車や痛チャリは普通の人には抵抗感があるとしても、例えばベビーカーなどにアニメキャラクターをプリントしたいといったニーズは少なくないはず。そういった領域でアニメ関連商品がカスタマイズの部品として一般的に使われるようになれば、業界も多少はうるおうんじゃないかなと考えたりもする。個人的には、夜に光る初音ミクのステッカーを作っていただけると実用性が増すのでありがたい(アニメキャラクターではないが)。
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