米国株安や円高を受けて軟調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年08月09日 17時27分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 先週末の米国市場が軟調となったことや為替が円高に振れたことが嫌気されて売り先行となりました。米国市場と同じように好業績銘柄を物色する動きで底堅さも見られるかと思われましたがディフェンシブ銘柄に堅調なものが見られるものの、好決算を発表しがら、上方修正を発表しながらも売られる銘柄も多く、軟調となりました。さすがに大幅下落となる水準=節目と見られる9500円を意識するところでは底堅さも見られるのですが買い気に乏しく戻りの鈍い相場となりました。

 決算発表も出揃って来ましたが、これだけ上方修正が多いにもかかわらず売られる相場も珍しいのではないかと思います。今年の4月に高値をつけたときの相場のように、これまで、好決算が織り込まれて買われていた後であれば、業績上方修正で出尽くし感となるのも理解できるのですが、上方修正を発表して年初来安値を更新したり、上期はもちろん、通期まで上方修正したにもかかわらず安値券で売り気配を切り下げて始まる銘柄が見られるなど、業績に反応しているようで反応していない相場となっています。

 円高が進んでいるとか、米国景気の先行きが危ういということで、売り急ぐ向きも多いのでしょうが、やはり、それだけ近視眼的に目先の株価だけを見ての売買が多いということなのでしょう。もちろん下期にかなり業績がおち込む可能性はありますが、目先の株価ばかりを気にしている投資家(投機家)が多い割りに、業績目では先行きに対して懸念していると言う不思議な状況ではないかと思います。

 要は企業側も先行き強気に見て置いて下方修正するよりは慎重に見ておいて上方修正する方が非難されないでしょうし、マスコミも妙に好業績を煽っておいて、景気が悪くなるとまた、何を言われるかわからないということなのでしょう。われわれのような商売でも強気を言って外れるとあたかもわれわれが悪いかのように言われるのですが、弱気を言っておいて相場が堅調となっても決して非難されることはなく、どしても弱気に見る向きが多くなるのでしょう。ただ、決して米国経済指標も企業業績も、日本の企業業績も悪いものではなく、もっと強気に見てもいいのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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