米国市場が軟調、円高に加え芳しくない経済指標を受けて大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年08月11日 17時13分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株安や円高を嫌気、機械受注や中国景気への懸念もあって大幅安となりました。米国金融緩和やドルの底堅さ、機械受注も予想は下回ったものの、決して「悪い」と言う水準でもなく、中国もCPI(消費者物価指数)は予想通りということで、悲観的に見れば大きな売り材料となるのですが、ここまで軟調な地合いが続いていたことを考えれば改めて売り急ぐこともなさそうに思われます。ただ、持高調整の売りもあって株価が下がると悲観的に見ざるを得ないということなのでしょう。

 個人投資家の短期売買が主流になっているという記事が新聞に載っていましたが、今更始まったことでもなく、手数料の自由化、インターネット取引が主流になったことで短期売買が多くなったものと思います。加えて、信用取引にしても先物やオプションの取引にしても従来の対面営業では取引できなかった人たちまでが取引できるようになり、短期売買が増えたということなのだと思います。

 情報も瞬時に伝わるようになったことも短期売買に拍車をかけているのでしょうが、短期売買が主流になったことや信用取引などが簡単に出来るようになったことで株式相場が上昇し難くなっている面もあると思います。もちろん、短期筋は市場の流れ自体を変えるようなことは少ないのですが、上昇にしても下落にしても、そして膠着すらも短期売買が多くなったことで、増幅されることになったものと思います。また、「損切り」ばかりが取りざたされ、手数料が安いせいもあって、我慢するべきところでも我慢できなくなっているのではないかと思います。

 加えて、空売り規制があることで、売り買いのバランス、ゆがみが生じ、どうしても下がり易く上がり難い状況になってしまうのではないかと思います。我慢しきれず売ると下がり、下がるとますます我慢しきれない人が多くなりさらに下がってしまうと言うようなことなのだと思います。株式投資が広まることはいいことなのですが、我慢を知らず、少し動きが芳しくないとすぐに売ってしまう、と言うことなのだと思います。このコラムでも何年も前から何度も述べていますが、株式を売買することに対するメリットよりも、保有することにメリットがあるようなシステムとならないと株式場の復活も遠くなってしまうのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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