米国株安や円高を受けて大幅安だが年初来安値更新での達成感から下げ幅縮小清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年08月12日 16時53分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 引き続き足元の業績は無視して先行きへの懸念、不安ばかりが募って、売り急ぐ展開となりました。昨日の大幅下落で米国の大幅安もある程度織り込んでいたと思っていたのですが、予想以上に先行きに対する懸念が根強いということなのでしょう。

 株式市場でよく話題になることに、「ケインズの美人投票」と言う言葉があります。つまり、「誰が一番美人かを当てよう!」と言った場合、自分が見て誰が一番か、と言うことではなく、皆が一番と思うのは誰かを当てなければならないということなのです。今の相場もまさしく、そのような状況にあるのではないかと思います。

 つまり、足元の業績は好調だが先行きに対する懸念が根強いので、先行き慎重に見ている企業の株は売られるから、そのような決算を発表したら売り、と言うことになってしまっているようです。そして、景気動向でも皆が米国の経済指標が弱いというから弱いんだろうという反応になっており、中国経済でも冷静に考えてみれば決して「良い」か「悪い」かといえば「良い」のですが、そのような反応にならないということでしょう。

 何故、決して悪くはないものを「悪い」と言うことになってしまうかと言うと市場が「悪い」と判断しているからで、あって、それは決して「悪いから悪いと判断している」と言うことではないのです。相場は常に正しく、先行きの景気を示しているのであれば、株がこれだけ売られるということは先行きの景気が悪いわけで、それならば景気が悪くならないように財政出動なり、政策を打つということになるわけで、それならば株価が決して悪くない景気の先を見て売られているということで、景気は悪くなる前に良くなる、と言うことなになりそうです。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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