先週末の米国市場が軟調となったことや落ち着いたとは言うものの相変わらず円高傾向にあることに加え、朝方発表されたGDP(国内総生産)が予想を大きく下回ったことから、売り先行となりました。寄り付きの売りが一巡した後も値動きの悪さを嫌気した売りも嵩み大幅下落となりました。それでも9000円を意識するような水準になると売り急ぐ動きも止まり、底堅さが見られることから、下げ幅縮小となりました。引き続き下値模索となっています。
米国同様に個別企業の決算は好調ですが経済指標は悪いということで売られました。先行きに対する懸念は引き続き根強く、世界的に経済の流れが悪い方にむいているような展開になって来ました。本来であれば、新興国の経済成長→世界的な企業の業績向上→雇用や賃金への不安がなくなり、消費が増える→企業の設備投資などもあって新興国の経済が成長する、と言うような流れがいったん止まると直ぐに逆に回りそうな勢いです。
そして、その流れが一気に逆転したのが「サブプライムショック」であり、今のセンチメントはちょっとどこかが躓いただけで一気に経済の流れ=お金の流れ自体がフリーズしてしまうということではないかと思います。そして、その流れを滞らせるのが先行きに対する過度な懸念であり、過度なリスク縮小ではないかと思います。
少しのリスクを過大評価し、経済拡大スピードを過小評価するだけで直ぐに世界のお金の流れが止まってしまうということはこれまでの動きを見れば明白です。いわゆる「流動性の罠」と言うもので、世界的にお金の流れをスムースにすること、ある程度リスクを許容できるような体制にすることがいまの株価にとっては一番必要なことなのだと思います。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
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